3版の序

 2001年2月,遂に我々は新しい医学・医療革新の世紀を迎えた.ヒトゲノムがおおよそ解読されて(概要版発表)遺伝子の総数が約34,000個であることが判明し,いよいよ本格的な疾患関連遺伝子の検索と網羅的な解析が可能となるゲノム医学時代に突入したからである.そして2003年4月14日,ヒトゲノム塩基配列の解読完了宣言がなされた.これまで,それぞれの疾患の病態の理解や診断,治療も不完全であった理由の少なくとも一部は主要な原因遺伝子や感受性遺伝子が同定されていなかったためであり,これらが網羅されれば,より正確な診断,より的確な治療が可能になる.その実現は決して容易なことではないが,疾病を抱える患者,家族,医療従事者にとっても素晴しい時代がまさに到来したといえる.

 一方,医療を取り巻く状況も劇的に変化している.編者らが専門とする止血血栓領域でも,嘗ては血友病をはじめとする各種の先天性出血疾患が注目されていたが,所謂先進国は80年代までに「飽食の時代」に入り,90年代になってからは「高齢化社会」へと変貌を遂げたので,それにつれて疾病構造も大きく変化し,我が国でも心筋梗塞などの動脈血栓症や深部静脈血栓症/肺梗塞の症例が増加している.すなわち,止血栓により個体の生命を大量の失血から守って来た凝固系が,逆に病的血栓の形成により第一の死因の原因となったのである.従って,分子病態学による血栓症の克服が国民の生命と生活の質を規定する最も重要な課題となっている.また,未知の感染症が瞬く間に世界を席巻する可能性もあり,分子病態学は益々重要性を増している.その先駆けが先日のSARS禍であり,その原因が新種のコロナウイルスだと同定されるや否や,アメリカの疾病対策センター(CDC)はSARSウイルスの遺伝子配列を,編者の友人Hilgenfeld教授(ドイツ)はコロナウイルスの酵素の3次元構造を特許も取らずに発表した.感染に必須な蛋白質を前駆蛋白質から切り出す本酵素の活性部位にフィットする物質がすでに合成されており,臨床現場に届く日も近い.

 このような状況を踏まえて,編者らは,本教科書が改訂第3版となるのを機に各項目の大胆な刷新を図った.大はゲノミクス,プロテオミクス等々の分野の泰斗に現状と将来の展望を述べて頂き,小は全国の医学部,医科大学にコアカリキュラムと共通試験が導入されるのに伴い,必須の知識を網羅することにも心を砕いた.全編を通じて,疾患の分子病態の理解には,遺伝子,分子,細胞,器官,個体のレベルでの統合的な解析が重要であることを感じ取って頂ければ幸いである.この改訂第3版が,医学生のみならず医歯薬系,生物学系の学生や大学院生の皆さんのお役に立つことを祈念してやまない.

  2003年7月

    一瀬 白帝

    鈴木 宏治


I.分子病態学の新しい展開  1

1.ゲノム時代の分子病態学  <清水信義> 2

 A.ヒトゲノムの全体像  2

 B.ヒトゲノム研究の分子病態学へのインパクト  3

2.ゲノミクスと分子病態学  <吉川敏一 一石英一郎> 6

 A.DNAチップ・マイクロアレイ技術  6

 B.網羅的大量遺伝子発現解析  7

 C.網羅的大量遺伝子多型解析  8

 D.DNAチップ・マイクロアレイとバイオインフォマティクス  9

3.プロテオミクスと病態解析  <谷口寿章> 11

 A.プロテオミクスとは何か?  11

 B.プロテオミクスの解析技術  12

 C.プロテオミクスによる病態解析とその展望  13

II.分子病態学の基礎知識  15

1.遺伝子の構造と発現調節機構  <東中川 徹> 16

 A.遺伝子の本体はDNAである  16

 B.DNAの基本構造  16

 C.RNAの構造  17

 D.ゲノムサイズ  17

 E.クロマチン  18

 F.ヌクレオソーム  18

 G.染色体の構造  19

 H.遺伝子の発現調節機構  19

 I.RNAポリメラーゼ  20

 J.転写調節シスエレメント  20

 K.転写因子  22

 L.転写補助因子  23

 M.クロマチン構造と転写調節  23

 N.DNAのメチル化と転写調節  24

2.蛋白質の合成と輸送機構  <水野 猛> 25

 A.蛋白質合成の概要  25

 B.遺伝暗号  25

 C.遺伝暗号の解読機構とtRNA  26

 D.蛋白質合成装置: リボゾーム  26

 E.蛋白質合成の分子機構  27

 F.蛋白質合成後の細胞内輸送  30

 G.蛋白質翻訳後の修飾  31

3.細胞の構造と分裂周期  <菊池韶彦 菊池淑子> 32

 A.細胞の構造  32

 B.細胞分裂周期  34

4.蛋白質の構造と機能の関係  <小出武比古> 38

 A.蛋白質の構造  38

 B.ポリペプチド鎖の折りたたみと分子シャペロン  39

 C.蛋白質の機能  39

 D.蛋白質の構造と機能相関  40

 E.蛋白質の構造と機能の単位  40

 F.蛋白質ファミリーとスーパーファミリー  42

5.細胞内シグナル伝達機構  <中島 茂 岡野幸雄> 43

 A.形質膜受容体  43

 B.GTP結合蛋白質  44

 C.セカンドメッセンジャー  44

 D.蛋白質リン酸化カスケード  44

 E.蛋白質の会合と情報伝達  45

 F.蛋白質分解とシグナル伝達  46

 G.細胞質から核へのシグナル移行  46

 H.核内受容体  46

6.細胞の増殖・分化と再生医学  <守内哲也> 47

 A.増殖と分化の連続性  47

 B.選択的遺伝子発現  47

 C.遺伝子発現の抑制と解除  47

 D.増殖と分化の様式  48

 E.増殖因子  49

 F.再生医学  50

7.老化の分子生物学  <鍋島陽一> 51

 A.発生,成熟,老化,進化  51

 B.ヒトの老化と統合システムの破綻  52

 C.展望  63

8.アポトーシスと疾患  <太田成男> 65

 A.アポトーシスとその役割  65

 B.アポトーシスの誘因  65

 C.ミトコンドリアによるアポトーシスの決定と制御  66

 D.死の因子によるアポトーシスのシグナルの伝達とカスパーゼによるアポトーシスの実行  67

 E.アポトーシス異常による疾患  67

 F.アポトーシスの検出  68

9.生体防御機構  69

a.免疫応答の分子機構  <渡邊 武> 69

 A.免疫系のしくみと特徴  69

 B.自然免疫機構  70

 C.獲得免疫系におけるリンパ球クローンと抗原認識の多様性  71

 D.T細胞とB細胞  71

 E.多様性の獲得  72

 F.主要組織適合系複合体遺伝子群と組織適合抗原の多型性  75

 G.主要組織適合系複合体抗原と抗原提示  76

 H.正の選択,負の選択  77

 I.免疫細胞の活性化と補助刺激分子  78

 J.免疫反応の多様性  78

 K.サイトカインと免疫応答の多様性  80

 L.CD4陽性ヘルパーT細胞のサブセットとその機能  81

 M.キラーT細胞による生体防御  82

b.炎症の分子機構  <松川昭博> 83

 A.微小循環系の変化と血管透過性亢進  83

 B.白血球の血管内皮細胞への接着・遊出  84

 C.白血球の遊走・活性化  84

 D.炎症の終息  87

c.補体系の分子機構  <藤田禎三> 89

 A.補体系の概説  89

 B.補体系の活性化経路と膜傷害複合体の形成  91

 C.補体系の制御  94

 D.補体レセプター  96

 E.補体系の生体防御における役割  98

 F.補体欠損症  98

10.遺伝子病の概念と分子機構  <服巻保幸> 101

 A.遺伝子病  101

 B.遺伝子病の分子機構  104

11.遺伝子変異の機構  <中別府雄作> 110

 A.遺伝子変異の種類  110

 B.突然変異生成の経路  111

12.遺伝子修復機構とその異常  <錦織千佳子> 119

 A.遺伝子修復機構  119

 B.ヌクレオチド除去修復  119

 C.色素性乾皮症  120

 D.転写異常症候群  122

 E.ミスマッチ修復  123

 F.アタキシアテランギエクタシア  123

13.遺伝子治療  <島田 隆> 124

 A.遺伝子治療の方法論  124

 B.遺伝子導入技術  125

 C.遺伝子治療の臨床研究  127

 D.遺伝子治療の課題  129

III.疾患の分子病態学的解析法  131

1.遺伝子解析に用いる酵素とベクター  132

a.酵素  <武谷浩之 鈴木宏治> 132

 A.遺伝子解析の流れと各種酵素  132

 B.制限酵素  133

 C.逆転写酵素  135

 D.DNAポリメラーゼ  135

 E.DNAリガーゼ  136

 F.その他の重要な酵素  136

b.ベクター  <林 辰弥 鈴木宏治> 138

 A.ベクターとは  138

 B.ファージベクター  138

 C.プラスミドベクター  139

 D.酵母ベクター  143

 E.バキュロウイルスベクター  145

 F.レトロウイルスベクター  145

 G.アデノウイルスベクター  145

2.ブロッティング法  <井戸正流 鈴木宏治> 149

 A.Southern blotting法  149

 B.Northern blotting法  150

 C.Western blotting法  150

 D.ゲル内活性酵素測定法(zymography)  152

 E.South-Western blotting  152

 F.West-Western blotting(Far-Western blotting)  152

3.遺伝子クローニングと塩基配列決定法  <惣宇利正善 一瀬白帝> 154

 A.遺伝子クローニング  154

 B.塩基配列決定法  157

4.遺伝子の発現調節機構の解析  <奥村太郎 一瀬白帝> 161

 A.転写開始部位の同定法  161

 B.シス領域の同定  162

 C.シスエレメントの同定  164

5.人工的遺伝子変異導入と発現解析  <小関-久野しおり 一瀬白帝> 168

 A.プラスミドを用いた部位特異的変異導入法  168

 B.PCR法を用いた部位特異的変異導入法  168

 C.部位特異的変異導入法の応用  169

 D.先天性XIII因子欠損症の解析(自験例)  170

6.トランスジェニック動物とジーンターゲッティング  <山村研一> 172

 A.トランスジェニックマウス作製  172

 B.トランスジェニックマウス作製の進歩  172

 C.トランスジェニックマウスの応用  173

 D.標的遺伝子組換え法の概要  173

 E.相同遺伝子組換え法  173

 F.条件的遺伝子破壊  173

 G.相同遺伝子組換え法を用いた研究  175

 H.遺伝子タギング法を用いた解析  175

 I.疾患モデルの作製は最初のステップ  175

 J.問題点  175

7.病因遺伝子の解析  177

a.遺伝子マッピング  <岡 晃 猪子英俊> 177

 A.遺伝マーカー  177

 B.疾患のタイプ  178

 C.遺伝子マッピング法  179

b.ポジショナルクローニングとファンクショナルクローニング  <山縣英久 三木哲郎> 182

 A.ポジショナルクローニング  182

 B.ファンクショナルクローニング  185

c.遺伝子診断とゲノムタイピング法  <奥田智彦 宮田敏行> 187

 A.染色体解析  188

 B.DNA解析  188

 C.大規模SNPタイピング法  189

8.DNA多型による遺伝子病の解析  <辻 省次 田中 一> 192

 A.疾患の発症機構 ─単一遺伝子疾患と多因子遺伝疾患  193

 B.DNA多型マーカーとは  193

 C.DNA多型の解析により疾患遺伝子座を見出す原理 ─単一遺伝子疾患へのアプローチ  194

 D.多遺伝子性疾患の遺伝子同定に向けてのアプローチ  196

 E.疾患遺伝子のpositional cloning  198

 F.今後の展望  198

9.遺伝子多型の統計学的解析法  <西村泰治> 201

 A.抗原頻度および遺伝子頻度の求め方  201

 B.ハプロタイプ頻度および連鎖不平衡の求め方  201

 C.標識(対立)遺伝子と形質との相関の検定法  202

IV.疾患の分子病態学  205

A.悪性腫瘍  206

1.癌遺伝子  <秋山 徹> 206

 A.ウイルスの癌遺伝子  206

 B.癌細胞の癌遺伝子  206

 C.癌における癌原遺伝子の構造変化  207

 D.癌原遺伝子の正常機能  209

 E.分子標的治療  210

2.癌抑制遺伝子  <鈴木 亨> 212

 A.癌抑制遺伝子という概念  212

 B.癌抑制遺伝子の同定  213

 C.癌抑制遺伝子産物の実際の機能  213

3.多段階発癌: 大腸癌  <宮木美知子> 216

 A.大腸腫瘍にみられる遺伝子変化について  216

 B.大腸腺腫の発生とAPC遺伝子の不活性化  217

 C.大腸腺腫の癌化とp53遺伝子の不活性化  219

 D.大腸癌の進展に関与する癌抑制遺伝子の不活性化,およびK-ras遺伝子の活性化  219

 E.多段階発癌と遺伝子変化の蓄積  220

 F.その他の発癌機構  220

4.癌転移の分子機構  <野田政樹> 222

 A.細胞の原発巣からの離脱  222

 B.細胞の運動能に関わる分子  223

 C.細胞の接着に関わる分子  223

 D.基質蛋白質分子の転移における機能  223

 E.転移における分子の機能の網羅的解析  223

5.白血病  225

a.慢性骨髄性白血病  <平井久丸> 225

 A.慢性骨髄性白血病の概説  225

 B.慢性骨髄性白血病の分子病態  225

 C.BCR/ABLの機能  227

 D.BCR/ABL遺伝子の臨床への応用  228

 E.慢性骨髄性白血病の急性転化  228

b.急性前骨髄球性白血病  <平井久丸> 230

 A.急性前骨髄球性白血病の概論  230

 B.急性前骨髄球性白血病の分子病態  230

 C.RT-PCRによるAPLの遺伝子診断  232

 D.急性前骨髄球性白血病の治療とall trans-RA  232

c.悪性リンパ腫  <平井久丸> 234

 A.悪性リンパ腫の概論  234

 B.染色体転座と悪性リンパ腫  234

  1.Burkittリンパ腫  234

  2.濾胞性リンパ腫  234

  3.mantle cell lymphoma  235

  4.B細胞びまん性リンパ腫  236

  5.anaplastic large cell lymphoma  236

  6.mucosa-associated lymphoid tissue-type marginal zone B-cell lymphoma  237

 C.癌抑制遺伝子と悪性リンパ腫  237

B.止血異常・血栓症  239

1.血小板の異常  <鎌田春彦 鈴木宏治> 239

 A.血小板の形態・構造と機能  239

 B.血小板の先天性異常症  240

  1.Bernard-Soulier症候群  241

  2.Glanzmann's thrombasthenia症候群: 血小板無力症  242

2.von Willebrand病,血栓性血小板減少性紫斑病  <鎌田春彦 鈴木宏治> 246

 A.vWFの遺伝子と蛋白質の構造と機能  246

 B.von Willebrand病  247

 C.血栓性血小板減少性紫斑病  248

3.血液凝固の異常  <一瀬白帝> 250

 A.凝固系の発動  250

 B.凝固異常に基づく先天性出血性疾患  252

  1.血友病A  252

  2.血友病B  254

  3.von Willebrand病  254

  4.XIII因子欠損症  254

 C.血友病の遺伝子治療  255

 D.凝固因子と血栓症関連のSNPs  255

4.血液凝固制御系の異常: アンチトロンビン欠損症,プロテインC欠損症,プロテインS欠損症,APCレジスタンス  <鈴木宏治> 258

 A.血液凝固制御系の概要  258

 B.先天性血栓性素因  259

  1.先天性AT欠損症  260

  2.先天性プロテインC欠損症  262

  3.先天性プロテインS欠損症  265

  4.APCレジスタンス  266

5.線溶系の異常  <一瀬白帝> 269

 A.線維素溶解(線溶)現象  269

 B.線溶系因子のSNPsと血栓症  269

 C.線溶系の異常  270

  1.PAの異常  270

  2.プラスミノゲン異常症  270

 D.線溶抑制系の異常  273

  1.PAI-1欠損症  273

  2.α2-PI異常症  274

C.脂質代謝異常と動脈硬化  275

1.肥満  <下村伊一郎> 275

 A.内臓脂肪の分子生物学的特性  275

 B.アディポサイトカイン  275

2.高脂血症  <石神眞人 松澤佑次> 280

 A.脂質代謝の基礎  280

 B.高脂血症の分類  282

 C.高脂血症発症の分子メカニズム  282

  1.家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症  282

  2.家族性高コレステロール血症  284

  3.家族性III型高脂血症  285

  4.原発性高HDL血症  285

  5.マルチプルリスクファクター症候群  286

3.動脈硬化症  <石井賢二 北 徹> 288

 A.粥状動脈硬化の結果様々な臨床病態が形成される  288

 B.粥状動脈硬化の発生・進展は大きく3つの段階に分けられる  288

 C.粥状動脈硬化の発生・進展に関わる主な因子  289

 D.遺伝子異常と治療  293

D.循環器疾患  294

1.循環器疾患  <門前幸志郎 永井良三> 294

 A.心筋症  294

  1.拡張型心筋症  294

  2.肥大型心筋症  294

 B.高血圧症  295

  1.遺伝性高血圧症  295

  2.本態性高血圧症  295

 C.不整脈  295

  1.QT延長症候群  296

  2.Brugada症候群  296

 D.先天性心血管疾患  296

  1.心房中隔欠損症  296

  2.Holt-Oram症候群  296

  3.DiGeorge症候群  296

  4.Marfan症候群  297

  5.Ehlers-Danlos症候群  297

E.糖尿病  299

1.IDDMとNIDDM  <岩本和也 柱本 満 春日雅人> 299

 A.1型糖尿病  299

 B.遺伝素因として遺伝子異常が同定された糖尿病  301

 C.common type 2糖尿病  304

2.インスリンとインスリン受容体の異常  <森 啓行 柱本 満 春日雅人> 307

 A.インスリン異常  307

 B.インスリン受容体異常  309

F.内分泌疾患  313

1.ステロイドホルモンの産生異常症と作用発現異常症  <佐藤文三> 313

 A.ステロイドホルモンの産生制御と作用発現の概略  313

 B.ステロイドホルモン産生異常症の病態  313

 C.ステロイドホルモン受容体の異常症  317

 D.受容体以降の異常と思われる疾患  319

2.小人症  <佐藤文三> 320

 A.小人症の成因  320

 B.GH系カスケードの分子病理学と小人症  320

 C.甲状腺ホルモン系異常による小人症(クレチン病)  322

3.甲状腺ホルモン受容体異常症  <佐藤文三> 324

 A.甲状腺ホルモンの作用機構  324

 B.TR異常症の分子生物学  325

G.呼吸器・消化器疾患  328

1.嚢胞性線維症  <犬童康弘> 328

 A.CFの臨床  328

 B.責任遺伝子の同定  328

 C.CFTRの機能  329

 D.CFTRの機能異常の分子病態  330

 E.CFTRの異常と各臓器(汗腺,呼吸器,膵外分泌腺)の異常  332

 F.新たに明らかにされたCFTRの機能  333

H.筋神経疾患  334

1.筋神経疾患と三塩基反復配列  <中川正法> 334

 A.表現促進現象と三塩基反復配列  334

 B.トリプレットリピート病  334

  1.球脊髄性筋萎縮症  335

  2.筋強直性ジストロフィー  337

  3.Huntington病  338

2.進行性筋ジストロフィー  <林 由起子> 340

 A.進行性筋ジストロフィーとは  340

 B.Duchenne/Becker型筋ジストロフィー  340

 C.肢帯型筋ジストロフィー  342

 D.先天性筋ジストロフィー  343

 E.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー  343

 F.Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー  343

3.ミトコンドリア脳筋症  <後藤雄一> 345

 A.疾患概念  345

 B.病因としてのmtDNAと核DNA  345

 C.ミトコンドリア脳筋症の病型分類と遺伝子異常との関係  347

  1.CPEO  347

  2.MERRF  349

  3.MELAS(mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis,and stroke-like episodes)  349

  4.Leber遺伝性視神経萎縮症(Leber病)  349

  5.Leigh脳症  349

  6.糖尿病/難聴  350

  7.アミノグリコシド感受性難聴  350

  8.乳児致死型と乳児良性型  350

I.脳神経疾患  351

1.Alzheimer病  <柳澤勝彦> 351

 A.Alzheimer病の病態生理  351

 B.Alzheimer病関連遺伝子  352

 C.治療薬開発戦略のターゲット  353

2.Parkinson病  <葛原茂樹 佐々木良元> 355

 A.Parkinson病の疾患概念  355

 B.孤発性Parkinson病の病態  355

 C.家族性のParkinson病およびパーキンソニズムの分子遺伝学  357

 D.Parkinson病の治療  358

3.アミロイドーシス  <前田秀一郎> 360

 遺伝性(家族性)アミロイドーシス  360

4.プリオン病  <片峰 茂> 368

 A.プリオン病(伝達性海綿状脳症)  368

 B.プリオン仮説  369

 C.プリオン蛋白質とその遺伝子  369

 D.プリオン病とプリオン増殖の分子機構  369

 E.遺伝子改変動物を用いたプリオン仮説の検証  370

 F.ウシ海綿状脳症大流行と新型CJD  371

J.精神病  372

1.統合失調症,双極性気分障害  <岡崎祐士 三好 修 佐々木 司> 372

 A.統合失調症  372

 B.双極性気分障害(躁うつ病)  375

 C.精神疾患遺伝子研究の課題  376

K.視覚異常症  378

1.視覚異常症  <深田吉孝 岡野俊行> 378

 A.正常三色型色覚  378

 B.色盲と色弱  379

 C.色素性網膜炎  381

 D.コロイデレミア病因遺伝子  382

L.結合織蛋白異常症  385

1.結合織蛋白異常症  <二宮善文> 385

 A.骨形成不全症  385

 B.Ehlers-Danlos症候群  387

 C.Marfan症候群  387

M.代謝異常症  389

1.核酸代謝異常  <鎌谷直之> 389

 A.プリン代謝異常症  389

 B.ピリミジン代謝異常症  392

2.アミノ酸代謝異常  <犬童康弘> 394

a.フェニルケトン尿症  396

 A.臨床症状  396

 B.検査所見  396

 C.遺伝と疫学  396

 D.治療  396

 E.ヒトPAH遺伝子の構造と病因変異  396

 F.遺伝子診断  397

 G.遺伝子変異と生化学的表現型  398

 H.未治療患者の精神遅滞の程度と遺伝子型  399

 I.テトラヒドロビオプテリン(BH4)投与に反応するPKU患者  399

b.ホモシスチン尿症  400

 A.臨床症状  400

 B.診断  401

 C.治療  401

 D.責任遺伝子と病因変異  401

 E.遺伝子診断法  402

c.メープルシロップ尿症  403

 A.分岐鎖アミノ酸の代謝  403

 B.分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素  403

 C.メープルシロップ尿症  405

 D.MSUDの分子生物学  407

 E.MSUDの臨床分類とその病態  411

3.糖質代謝異常; 糖原病  <鈴木洋一> 413

 A.グリコーゲン代謝  413

 B.解糖系と糖新生系  415

 C.糖原病  415

4.ムコ多糖・糖脂質・糖蛋白質代謝異常症(リソソーム病)  <栗山 勝> 419

 A.リソソーム病の概念  419

 B.リソソーム病の病因と病態生理  419

 C.リソソーム病の臨床症状・診断  420

 D.リソソーム病の治療  422

 E.ムコ多糖症  423

 F.脂質蓄積症(リピドーシス)  424

 G.糖蛋白質代謝異常症  426

5.重金属代謝異常; Wilson病  <青木継稔> 428

 A.Wilson病の概要  429

 B.Wilson病遺伝子と発現蛋白質  430

 C.Wilson病の遺伝子異常と分子病態  432

 D.Wilson病の治療原則  434

N.免疫疾患  435

1.アレルギー反応と疾患  <山下直美> 435

 A.アレルギーとは  435

 B.アレルギー反応と遺伝  436

 C.IgE産生とIgE受容体  436

2.自己免疫疾患(膠原病)  <山本一彦> 438

 A.自己免疫疾患とは何か  438

 B.免疫系の多様性と自己の抗原に対する寛容(トレランス)  438

 C.自己免疫疾患発症のメカニズム  440

 D.多因子疾患である膠原病,その疾患感受性遺伝子  441

3.AIDS  <満屋裕明> 444

 A.HIVの分子生物学  444

 B.AIDSの化学療法の進展と問題点  447

O.感染症  450

1.ウイルス肝炎  <井廻道夫> 450

 A.肝炎ウイルス  450

 B.HAV  450

 C.HBV  450

 D.HCV  451

 E.D型肝炎ウイルス  453

 F.E型肝炎ウイルス  453

2.MRSA  <伊藤輝代 平松啓一> 454

 A.methicillin-セフェム耐性の機構  454

 B.methicillin耐性を運ぶ新しい動く遺伝因子: SCCmec  455

 C.β-ラクタム薬剤耐性に関与する遺伝子とその制御  456

 D.MRSAの遺伝子診断  457

V.疾患の原因遺伝子の染色体地図  459

略語一覧  473

索引  487