2版の序
 「光陰矢の如し」と申しますが,早いもので,本書が上梓されてから,3年近い歳月が過ぎ去ってしまいました.
 この3年間,本書は,コメディカルの学生や卒業生にも好評で,日本全国の大学・短大・各種専門学校のテキストとして採用されご購入頂きました.
 これは著者の持論ですが,コメディカルの看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士は,医療の協同従事者という立場にある以上,可能な限り幅広い医学知識を持つ必要があり,また持つことが要求されます.この様な医学知識をコメディカル・コモンセンスと言います.
 最近,話題となっている医療ミスは,コメディカルの医療スタッフが,ある一定レベル以上のメディカル・コモンセンスを持つことにより,ほぼ100%防止することが可能と言っても過言ではありません.
 本書のほとんどの章において,新しく発表されたガイドラインや診断基準を追加させていただきました.さらに,必要な訂正・加筆をすることにより,本書の内容は,レベルアップされ,一段と充実したものになりました.
 本書が,コメディカルの皆様方,コメディカルを目指す若い学生の方々の座右の書として,お役に立つものと確信する次第であります.
 2005年2月
 北村 諭



初版の序
 1999年3月に,私は,14年間勤務した自治医科大学呼吸器内科教授の職を辞し,その年に新設された埼玉県立大学保健医療福祉学部教授に就任しました.
 私が一年間にわたり講義した内容を軸にして,2001年に「コメディカルの医学概論」を出版する事が出来ました.
 2001年の5月にサンフランシスコで国際会議が開催され,私の愛弟子である旧医局員達と学会に出席しました.その時に,一つ皆で力を合わせて,本当に役立つコメディカルのための内科学の教科書を作成しようという話がまとまりました.
 コメディカルの教科書としては,看護学生のためのものは巷にあふれています.それらをみてみますと,内容が余りにも専門的で,医科大学の学生の教科書としても十分に役立つような立派なものばかりでした.
 本当にコメディカルに必要なものは,恐らく,これらの教科書の内容の50%程度ではないかと思われます.
 そこで本書では,コメディカルの学生・卒業生のために,必要にして充分な内科学の知識を箇条書きにして,出来るだけコンパクトにまとめることにしました.また,必要な所には,メモを適宜入れさせて頂きました.また,最新の医学の進歩も紹介するように務めました.
 本書が,コメディカルの方々,コメディカルを目指す学生の皆さんの座右の書として,お役に立つものと確信する次第であります.
 2002年5月
 著者を代表して 北村 諭


目次
第1部  内科学総論  <北村 諭>
 1章 内科概論  2
  1.内科学と,その進歩  2
  2.老化,加齢と疾病  2
  3.遺伝と疾患  3
  4.炎症  3
  5.内科診断学  3
  6.治療学  3
 2章 循環器疾患  7
  1.構造と機能  7
  2.大循環,小循環  10
  3.主要な臨床症状  11
  4.循環器疾患の検査  12
 3章 腎疾患,水電解質代謝  14
  1.構造と機能  14
  2.主要症状  15
  3.腎疾患の検査  16
 4章 呼吸器疾患  17
  1.構造と機能  17
  2.主要症状  19
  3.呼吸器疾患の検査  22
 5章 消化管疾患  24
  1.構造と機能  24
  2.主要症状  26
  3.消化管疾患の検査  28
 6章 肝・胆・膵疾患  29
  1.肝臓の構造  29
  2.肝臓の機能  30
  3.肝機能障害(肝不全)による症状  30
  4.胆管・胆嚢の構造と機能  31
  5.肝臓・胆嚢疾患の検査  32
  6.膵臓の構造と機能  33
  7.膵臓疾患の検査  34
 7章 血液・造血器疾患  35
  1.血液の組成と機能  35
  2.主要症状  36
  3.血液疾患の検査  38
 8章 代謝性疾患  39
  1.糖質代謝  39
  2.蛋白質の代謝  39
  3.脂質の代謝  40
  4.ビタミン  40
  5.電解質(無機質)  41
  6.代謝性疾患の検査  41
 9章 内分泌疾患  43
  1.内分泌腺の種類・作用機序  43
  2.視床下部  44
  3.下垂体  45
  4.甲状腺  45
  5.副甲状腺  45
  6.副腎  46
  7.性腺  46
  8.内分泌疾患の検査  46
 10章 感染症,寄生虫疾患  47
  1.感染・感染症の成立  47
  2.病原体の感染経路  47
  3.感染症の臓器別分類  48
  4.新興感染症  48
  5.感染症の臨床症状  48
  6.感染症の臨床検査  49
  7.寄生虫症  49
 11章 中毒性疾患  50
  1.中毒の定義・分類  50
  2.中毒の発生頻度  50
  3.中毒患者の診断・評価  50
  4.中毒の治療法  51
 12章 神経疾患  52
  1.構造と機能  52
  2.神経疾患の症状  54
  3.神経疾患の検査  59
 13章 膠原病  60
  1.膠原病とは  60
  2.膠原病の種類  60
  3.膠原病の症状・検査所見  61
  4.免疫血清検査所見  62

第2部 内科学各論
 1章 循環器疾患  <坂東政司>  64
  1.高血圧症  64
  2.虚血性心疾患  68
   1)狭心症  68
   2)心筋梗塞  70
  3.不整脈  72
   1)心房細動・粗動  77
   2)心室性期外収縮  78
   3)上室性頻拍  79
   4)心室性頻拍  80
   5)心室細動  81
   6)房室ブロック  82
   7)洞不全症候群  82
  4.心弁膜性疾患  83
   1)僧帽弁狭窄症  83
   2)僧帽弁閉鎖不全症  84
   3)大動脈弁閉鎖不全症  84
  5.先天性心疾患  85
   1)心房中隔欠損症  85
   2)心室中隔欠損症  85
  6.心筋疾患  86
   1)特発性心筋症  86
   2)心筋炎  86
  7.心膜の疾患  87
  8.大動脈疾患  88
   1)大動脈瘤  88
   2)解離性大動脈瘤  88
  9.末梢血管疾患  89
2章 腎臓・泌尿器疾患  <坂東政司>  90
  1.腎不全  90
   1)急性腎不全  91
   2)慢性腎不全  93
  2.糸球体の疾患  95
   1)急性腎炎症候群  98
   2)持続性蛋白尿・血尿症候群  100
   3)慢性腎炎症候群  100
   4)ネフローゼ症候群  105
   5)急性進行性腎炎症候群  110
  3.尿細管の疾患  111
   ●尿細管アシドーシス  111
  4.間質性腎炎  112
  5.全身性疾患による腎障害  112
   1)糖尿病性腎症  112
   2)ループス腎炎  114
   3)腎硬化症  115
   4)痛風腎  115
   5)アミロイド腎  115
   6)薬物による腎障害  116
  6.尿路感染症  116
   ●腎盂腎炎  116
  7.尿路結石症  116
  8.その他の腎疾患  117
   1)腎細胞癌  117
   2)嚢胞性腎疾患  117
  9.電解質異常  117
   1)ナトリウムの異常  117
   2)カリウムの異常  119
   3)カルシウムの異常  121
3章 呼吸器疾患  <北村 諭>  123
  1.感染性呼吸器疾患  123
   1)上気道炎,かぜ症候群  123
   2)急性気管支炎  124
   3)肺炎  125
   4)肺化膿症  131
   5)肺結核症  132
   6)肺アスペルギルス症  134
   7)クリプトコッカス症  135
  2.気道閉塞性疾患  136
   1)慢性閉塞性肺疾患(COPD)  136
   2)気管支喘息  137
  3.肺血管性病変  139
   ●肺血栓塞栓症  139
  4.腫瘍性肺疾患  140
   ●原発性肺癌  140
  5.胸膜の疾患  142
   1)胸膜炎  142
   2)気胸  142
  6.塵肺  143
   1)珪肺症  143
   2)石綿肺  144
  7.アレルギー性肺疾患  144
   ●過敏性肺炎  144
4章 消化管疾患  <坂東政司>  146
  1.食道疾患  146
   1)逆流性食道炎  146
   2)食道裂孔ヘルニア  147
   3)食道癌  148
  2.胃・十二指腸疾患  149
   1)急性胃炎  149
   2)慢性胃炎  149
   3)胃・十二指腸潰瘍  150
   4)胃ポリープ  152
   5)胃癌  152
  3.小腸・大腸疾患  155
   1)急性腸炎  155
   2)虫垂炎  156
   3)腸閉塞  157
   4)炎症性腸疾患  158
   5)過敏性大腸症候群  161
   6)大腸ポリープ  162
   7)大腸癌  162
5章 肝・胆・膵疾患  <菅間康夫>  165
  1.急性肝炎  165
   1)急性ウイルス性肝炎  165
   2)薬物性肝炎  166
  2.慢性肝炎  167
  3.肝硬変  167
  4.肝腫瘍  169
   1)肝細胞癌  169
   2)胆管癌  169
  5.胆石症  170
  6.胆嚢炎  172
   1)急性胆嚢炎  172
   2)急性化膿性胆管炎  172
  7.急性膵炎  173
  8.慢性膵炎  173
  9.膵腫瘍(膵癌)  174
  10.腹膜炎  174
6章 代謝性疾患  <小林 淳>  176
  1.肥満症  176
  2.やせ  177
  3.糖尿病  178
  4.高脂血症  181
  5.痛風  183
  6.骨粗鬆症  185
7章 内分泌疾患  <菅間康夫>  187
  1.間脳疾患  187
   ●神経性食思不振症  187
  2.下垂体疾患  187
   1)末端肥大症  187
   2)下垂体前葉機能低下症  188
   3)尿崩症  189
  3.甲状腺疾患  189
   1)甲状腺機能亢進症  189
   2)甲状腺機能低下症  190
   3)甲状腺腫瘍  191
  4.副甲状腺疾患  191
   1)原発性副甲状腺機能亢進症  191
   2)副甲状腺機能低下症  192
  5.副腎皮質疾患  192
   1)クッシング症候群  192
   2)副腎皮質機能低下症  193
   3)原発性アルドステロン症  194
  6.褐色細胞腫  195
8章 感染症,寄生虫疾患  <北村 諭>  196
  1.ウイルス感染症  196
   1)麻疹  196
   2)風疹  196
   3)水痘  197
   4)流行性耳下腺炎  197
   5)インフルエンザ  198
   6)AIDS(エイズ)  198
  2.細菌感染症  199
   1)ブドウ球菌感染症  199
   2)レンサ球菌感染症  200
   3)腸チフス  200
   4)細菌性赤痢  201
   5)破傷風  201
  3.スピロヘータ感染症  202
   ●梅毒  202
  4.原虫症  203
   1)マラリア  203
   2)トキソプラズマ症  203
  5.寄生虫疾患  204
   1)回虫症  204
   2)アニサキス症  204
9章 自己免疫疾患(膠原病)  <坂東政司>  205
  1.関節リウマチ  205
  2.全身性エリテマトーデス  209
  3.全身性強皮症(進行性全身性硬化症)  212
  4.多発(性)筋炎(皮膚筋炎)  214
  5.シェーグレン症候群  216
  6.混合性結合組織病(MCTD)  217
  7.ベーチェット病  219
  8.結節性多発動脈炎  222
10章 血液疾患  <重永哲洋>  225
 A.赤血球系の疾患  225
  1.鉄欠乏性貧血  225
  2.巨赤芽球性貧血  226
  3.再生不良性貧血  228
   ●赤芽球癆  230
  4.溶血性貧血  230
   1)遺伝性球状赤血球症  233
   2)遺伝性楕円赤血球症  233
   3)発作性夜間ヘモグロビン尿症  233
   4)新生児溶血性貧血  233
   5)赤血球破砕症候群  234
   6)自己免疫性溶血性貧血  234
 B.白血球系の疾患  236
  1.白血病  236
   1)急性白血病  236
   2)骨髄異形成症候群  238
   3)慢性骨髄性白血病  239
   4)骨髄増殖性疾患  240
   5)真性赤血球増加症(真性多血症)  240
   6)本態性血小板血症  243
   7)骨髄線維症  243
  2.慢性リンパ性白血病  244
   1)慢性リンパ性白血病  244
   2)成人T細胞白血病  245
   3)無顆粒球症  245
 C.リンパ網内系疾患  247
  1.伝染性単核球症  247
  2.悪性リンパ腫  248
   1)ホジキン病  248
   2)非ホジキンリンパ腫  249
  3.血球貪食症候群  253
  4.HIV感染とエイズ  253
 D.異常蛋白血症  254
  1.多発性骨髄腫  254
  2.原発性マクログロブリン血症  255
  3.アミロイドーシス  256
 E.出血性疾患  257
  1.血管異常による出血性疾患  257
   ●アレルギー性紫斑病(シェーンライン?ヘノッホ紫斑病)  257
  2.血小板異常による出血性疾患  257
   1)特発性血小板減少性紫斑病  257
   2)血栓性血小板減少性紫斑病  259
   3)溶血性尿毒症症候群  259
   4)血小板機能異常症  260
  3.凝固異常による出血性疾患  260
   1)血友病  260
   2)ヴォン?ヴィレブランド病  261
  4.播種性血管内凝固症候群(DIC)  262
11章 神経疾患  <小林 淳>  263
  1.脳血管障害(脳梗塞,脳出血)  263
  2.脳血管障害(くも膜下出血)  265
  3.慢性硬膜下血腫  266
  4.パーキンソン病  266
  5.アルツハイマー病  268
  6.脳炎  268
  7.髄膜炎  269
  8.脳腫瘍  269
  9.筋萎縮性側索硬化症  270
  10.多発性硬化症  270
  11.重症筋無力症  271
  12.筋ジストロフィー  272
  13.ベル麻痺  272
  14.ギラン?バレー症候群  273
12章 中毒性疾患  <重永哲洋>  274
  1.バルビタール薬中毒  274
  2.ベンゾジアゼピン中毒  275
  3.三環系抗うつ薬中毒  276
  4.サリチル酸(アスピリン)中毒  276
  5.ジギタリス中毒  278
  6.アセトアミノフェン中毒  279
  7.その他の主な治療薬の副作用  279
  8.アルコール中毒  280
  9.一酸化炭素中毒  281
  10.ヒ素中毒  282
  11.鉛中毒  283
  12.水銀中毒  286
  13.カドミウム中毒  288
  14.金属熱,金属フューム熱  288
  15.有機溶剤中毒  288
  16.その他の工業毒中毒  289
  17.有機リン剤中毒  289
  18.有機塩素剤中毒  291
  19.パラコート中毒  292
  20.タバコ中毒  294
  21.サリン中毒  295
  22.シアン中毒  296
  23.アジ化ナトリウム  297
  24.フグ中毒   298
  25.中毒情報関連のインターネットホームページ  299
  26.中毒110番・テレホンサービス  299

索引  300