改訂の序


 医学的観点からは,21 世紀に入った現在をポストゲノム時代と言う.ゲノム解析終了の医学・生物学へのインパクトは大きく,医学の教育や研究の分野にも自ずと大きな変革が迫られている.ゲノム解析の結果が医学の進歩に十分役立っているか否かは別として,疾患の原因やその薬物治療においても遺伝子の関与を取り入れた理解が望まれる時代に突入した事は疑いのない事実である.昨今の医学の進歩はゲノム科学のみならず,関連科学技術の急速な進歩に支えられて,基礎医学・臨床医学共に目を見張る様相を呈している.医学教育で求められる内容は質,量共に急激に増大しており,合理的方法の導入が必要となった.
 文部科学省の医学教育課の提案により,医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議が「21 世紀における医学・歯学教育の改善方策について?学部教育の再構築のために?」を平成 13 年 3 月に公表した.その別冊の一部に,医学における教育プログラム研究・開発事業委員会が「医学教育モデル・コア・カリキュラム?教育内容ガイドライン?」を発表した.これが所謂“コアカリ”といわれるものである.考えの基本は,薬理学(Pharmacology),生理学(Physiology)....というオロジー(−ology)を排して,身体を臓器別に横断的ユニットとして,形態,機能,疾患,診断,治療などをまとめて教育する,という内容である.その上,臨床実習前に各自の到達度をチェックする「共用試験」を実施する事を目標に定め,すでに試用期間が過ぎて,全国レベルで一斉に開始に至っている.
 薬理学の教育に関しては,日本薬理学会が中心になって,調査検討の末,上の“コアカリ”の考え方には全面的に賛成しかねるという中間的な結論を見出している.即ち,教育ユニットとしての「薬理学」を念頭にした方が臓器別よりも教育効果が大である,というハーバード大学での検証を支持するものであった.医学各分野の教育は,大学間の温度差は大きいものの,何らかのカリキュラム改変を余儀なくされている.薬理学という名前も消えつつある程の大改革を実施している大学から,以前とほとんど変わらない大学まで,大きな開きはあるものの,教育する方,受ける方,共に薬理学の教科書は必要である.
 本書は初版から一貫して,前半部に薬理学の効果的理解に必要な基本事項をかなりのスペースを割いて詳細にまとめている.この度の改版に際しては,近年の生命科学の進歩を十分に取り入れて改訂した.名称はともあれ,医学における実質の薬理学教育に十分活用して頂くことを切望する.
  2004年12月
  編者一同



 医学の教育では繰り返しが多い.「基礎医学から臨床医学に至る全過程で同一内容が平均6回繰り返された」と,ノートを調べて平均値を出した医学生がいた.これは約20年前の医学生が行った調査なので,現在はこの数より多いか少ないかは定かでない.丁度医学教育年限と一致する数字なので興味深い.

 医学部の卒業生の大半は臨床医になり,臨床医は毎日不特定多数の患者さんを診察せねばならない.つまり“不意打ち”に備えておく必要がある.日常の診断では十分な時間の余裕がないので,いちいち調べる暇もなく,処置をほどこす.ほとんど反射的といって良い程に薬の種類と量の選択も迫られる.医学教育で繰り返しの多い理由は,このような現実に即応できて初めて臨床医としての職責を全うできるので,各教科名は異なっていてもそこで取り上げられる医学的内容の大半は重複が多くならざるを得ない.教科という角度の違った入り口から人体を理解することは,実は忘れることのないような対策であるといっても良かろう.

 薬理学は基礎医学と臨床医学の両者をカバーして初めて理解が深まる.この観点からすれば,現在の日本の多くの医科大学,医学部カリキュラムでの薬理学が基礎医学の中に組み入れられていることが妥当であるか否かは議論の多いところである.一部の大学では,薬理学を二つに分けて,基礎薬理を低学年の基礎医学の中で,臨床薬理を別にして高学年の臨床医学の中で教えている.この方式は各大学でも一考の余地があるものと考える.

 本書は次の諸点を特徴として企画された.

?医学生の大半は将来臨床医を目指すものと考えて,臨床との接点を大切にする.

?通読しやすいように,より詳しい内容は囲み形式にして区別し,最初は飛ばし読みしても構わない.即ち,この囲みを読まなくても,その先の内容は理解できる.

?解剖学,生理学,生化学の復習と薬理学の理解に必要な基礎事項として,「生体内情報伝達と薬理学」に冒頭の約三分の一のスペースを割いた.

?薬物と深い関連をもつ病気の概略を囲みとして挿入し,低学年での薬理学のカリキュラムにも対応できるように配慮した.

?抗生物質や毒物などは他の関連分野の教科に委ねることとし割愛した.

 このような工夫の反面,数多くの先生方による分担執筆の宿命ともいうべき内容の「不揃い」は否めない.読者からの忌憚のないご意見やご批判を歓迎する.この点に関しては,出来るだけ近い将来に改訂版を出して,形式や内容の統一を計りたい.

 最後に,本書の企画の段階から全てに亘り御助言,御助力賜わった中外医学社の青木三千雄,荻野邦義の両氏,編集担当の秀島悟氏に感謝致す次第である.

1997年3月   
編集者   


目次
1.薬理学の歴史と課題  <遠藤仁 細山田真>  1
 薬理学の定義  2
 薬理学の歴史概要  2
 薬理学の課題  2

2.生体内情報伝達(チャネル・活性物質・受容体)と薬理学  5
■I.情報伝達の基礎  6
 1.情報伝達物質概説  <辻本豪三 中山靖久>  6
  A.自律神経系概説  6
  B.自律神経系の情報伝達  9
  C.受容体と情報伝達系  11
 2.情報伝達とイオンチャネル  <田邊勉>  13
  A.イオンチャネルの種類と構造  13
    各グループの構造的特徴  14
  B.イオンチャネルの機能  16
  C.イオンチャネルと疾患  18
   1.イオンチャネル疾患  18
    2.イオンチャネル制御による疾患治療  18
 3.受容体と情報伝達:1.GTP結合 タンパク質の役割
                    <堅田利明>  20
  A.細胞外シグナルの受容機構  20
  B.細胞膜受容体の機能と分類  21
   1.イオンチャネル型受容体  21
   2.Gタンパク質共役型(7 回膜貫通型)受容体  21
   3.チロシンキナーゼ型受容体  23
  C.Gタンパク質共役型受容体の特徴  23
  D.GTP結合タンパク質の種類とそれらに共通する特性  24
  E.αβγ三量体Gタンパク質  25
   1.細胞膜受容体と共役するGタンパク質の種類  25
   2.Gタンパク質を標的とする細菌毒素  26
  F.Gタンパク質によって調節される効果器系  28
   1.アデニル酸シクラーゼ  28
   2.cGMPホスホジエステラーゼ  29
   3.ホスファチジルイノシトール4,5
     −二リン酸に特異的なホスホリパーゼC  29
   4.イオンチャネル  30
   5.その他の効果器  30
  G.Gタンパク質シグナル伝達系の制御因子  30
   1.効果器によるGタンパク質の活性制御  30
   2.Gタンパク質シグナル伝達系を負に制御するRGSファミリー  31
 4.受容体と情報伝達: 2.Ca2+の役割  <飯野正光>  32
  A.細胞内Ca2+濃度制御機構  32
   1.細胞膜のCa2+チャネル  32
   2.細胞膜Ca2+ポンプと Na+/Ca2+交換機構  33
   3.小胞体のCa2+ポンプ  33
   4.Ca2+ストア内Ca2+結合タンパク質  33
   5.Ca2+放出チャネル  33
   6.ミトコンドリア  34
  B.IP3によるCa2+放出機構  34
  C.ホルモンによるCa2+動員のモジュレーション  35
  D.Ca2+の作用部位  36
   1.カルモジュリンを介した反応  36
   2.チャネルに対するCa2+の作用  36
   3.開口放出  36
  E.Ca2+シグナルと疾患  36
■II.チャネルと薬理  38
 1.Na+チャネルと薬理  <小野景義>  38
  A.電位依存性Na+チャネルの役割  39
   1.筋興奮・神経興奮におけるNa+チャネルの機能と役割  39
   2.活動電位立上り速度とNa+電流  39
  B.Na+チャネルの電位依存性開閉機構  39
  C.Na+チャネルの構造と機能  40
   1.Na+チャネルの構造(アミノ酸配列と立体構造)  40
   2.Na+チャネルの構造と機能との対応  41
  D.Na+チャネルに作用する   44
   1.チャネルの状態による薬物作用の違い  44
   2.チャネル結合部位と薬物(毒物)  46
  E.Na+チャネルと発達薬理?発育に伴うNa+チャネルの変化  47
  F.Na+チャネル分子の構造異常と病態  47
    ナトリウムチャネルの遺伝子変異と疾患  47
 2.K+チャネルと薬理  <中谷晴昭>  51
  A.K+チャネルの分類  51
  B.K+チャネルの生理的および病態生理的役割  54
   1.先天性QT延長症候群  54
   2.良性家族性新生児痙攣  55
   3.Bartter症候群  55
   4.持続性高インスリン性低血糖症  55
  C.K+チャネルと薬物  55
   1.抗不整脈薬  55
   2.QT延長薬物  56
   3.K+チャネル開口薬  56
   4.経口血糖降下薬  56
 3.Caチャネルと薬理  <村上学 飯島俊彦>  57
  A.Ca2+チャネルの電気薬理学的な性質  58
  B.Ca2+拮抗薬とω−conotoxin  58
   1.Ca2+拮抗薬  58
   2.ω−conotoxinとω−agatoxin  62
  C.Ca2+チャネルのリン酸化  62
   1.Adenylyl cyclase活性化薬  62
   2.Phospholipase C(PLC)活性化薬  62
  D.Ca2+チャネルと疾患  63
   1.Lambert−Eaton筋無力症候群  63
   2.Ca2+チャネルと高血圧症  63
   3.Ca2+チャネルと狭心症  63
   4.Ca2+チャネルと神経疾患  63
   5.おわりに 63
 4.Clチャネルと薬理  <鈴木誠>  64
  A.Clチャネルの薬理  64
   1.概観  64
  B.Clチャネルの役割  64
   1.上皮輸送  65
   2.興奮調節  66
   3.細胞容量調節  67
   4.細胞内のClチャネル  67
  C.Clチャネル阻害薬  68
 5.グルタミン酸受容体・NMDA型受容体チャネルと薬理  <田中光一>  70
  A.グルタミン酸受容体のサブユニット構造  70
  B.AMPA型受容体  70
  C.カイニン酸型受容体  71
  D.NMDA型受容体  72
   1.NMDA型受容体の特性  72
   2.NMDA受容体サブユニットの発現と機能的多様性  73
  E.NMDA型受容体と精神神経疾患  73
   1.神経細胞死とNMDA型受容体  73
   2.神経因性疼痛とNMDA型受容体  74
   3.精神疾患とNMDA型受容体  74
 6.トランスポーター  <金井好克>  75
  A.トランスポーターの種類,生理的・病態生理的特徴  75
   1.トランスポーターの分類  75
   2.トランスポーターの機能的役割  78
  B.トランスポーター作用薬  82
  C.トランスポーターと疾患  82
■III.トランスミッター・オータコイドと薬理  84
 1.アセチルコリン受容体  <大石一彦 内田幸宏>  84
  A.ニコチン性アセチルコリン受容体  84
   1.ニコチン性受容体の構造  84
   2.ニコチン性受容体の機能  85
  B.ムスカリン性アセチルコリン受容体  86
   1.ムスカリン性受容体の構造  86
   2.ムスカリン性受容体の機能  87
  C.コリン作動性神経とその作用薬  88
   1.副交感神経効果器接合部における作用薬  88
   2.自律神経節における神経伝達とその作用薬  90
   3.神経筋接合部における神経伝達とその作用薬  91
   4.中枢神経系における神経伝達とその作用薬  93
 2.α−アドレナリン受容体  <辻本豪三 中山靖久>  95
  A.α1受容体  95
   1.α1受容体の分類  95
   2.α1受容体の分布と機能  96
   3.α1受容体の細胞内情報伝達系  96
  B.α2受容体  97
   1.α2受容体の分類  97
   2.α2受容体の分布と機能  98
   3.α2受容体の細胞内情報伝達系  99
 3.β−アドレナリン受容体  <黒瀬等 長尾拓>  100
  A.β受容体とアゴニストの構造  101
  B.β受容体を介したシグナル伝達  103
  C.β受容体サブタイプと調節機構  105
  D.β受容体の遺伝子多型と疾患  106
  E.まとめ  107
 4.ヒスタミン受容体  <谷内一彦 田代学 岡村信行>  108
  A.ヒスタミンの作用と受容体  108
  B.ヒスタミンの合成・分解  110
  C.刺激によるヒスタミン遊離  110
  D.ヒスタミン受容体  112
  E.ヒスタミン受容体アンタゴニスト  112
 5.セロトニン受容体  <吉岡充弘>  115
  A.分布  115
  B.生合成および代謝  116
  C.貯蔵,遊離,再取り込み  117
  D.受容体  117
   1.5−HT1受容体  118
   2.5−HT2受容体  119
   3.5−HT3受容体の薬理学  119
   4.5−HT4受容体の薬理学  119
   5.セロトニントランスポーター  120
 6.ドパミン受容体  <島田昌一>  121
  A.ドパミン神経細胞  121
  B.ドパミン受容体  122
   1.D1受容体  123
   2.D2受容体  124
   3.D3受容体  124
   4.D4受容体  124
   5.D5受容体  125
  C.ドパミントランスポーターとドパミン受容体  125
 7.中性アミノ酸(GABA,Glycine)受容体  <鈴木秀典>  127
  A.GABA 受容体  127
   1.GABAA受容体  127
   2.GABAA受容体に存在する多くの薬物結合部位  127
   3.GABAA受容体の多様性と薬物開発  129
   4.GABAB受容体  129
  B.Glycine受容体  130
 8.オピオイド受容体  <小林広幸>  131
  A.痛覚  131
   1.上行性の痛覚伝導路  131
   2.下行性の痛覚抑制経路  131
  B.内在性オピオイドペプチド  132
   1.プロオピオメラノコルチン  133
   2.プロエンケファリン  134
   3.プロダイノルフィン  134
  C.オピオイド受容体  134
  D.オピオイドの作用  136
   1.鎮痛  136
   2.呼吸抑制  137
   3.消化管への作用  138
   4.鎮咳  138
   5.催吐作用  138
   6.縮瞳  138
 9.アンジオテンシンII受容体  <宮崎均>  139
  A.RA系のカスケード  139
  B.RA系と病態  140
  C.AII受容体  141
   1.AII受容体とそのサブタイプ  141
   2.細胞内シグナル伝達  142
 10.プロスタノイド受容体  <牛首文隆>  147
  A.プロスタノイド  147
   1.プロスタノイドの代謝  147
   2.プロスタノイドの作用  148
  B.プロスタノイド受容体の構造  148
   1.ロドプシン型受容体としてのプロスタノイド受容体  148
   2.プロスタノイド受容体の種差  150
   3.プロスタノイド受容体の遺伝子構造とアイソフォーム  150
   4.PG 受容体の分子進化  150
  C.プロスタノイド受容体の機能  151
   1.リガンド結合  151
   2.情報伝達  152
  D.プロスタノイド受容体の分布  154
   1.ノーザンブロット解析  154
   2.in situ hybridization法を用いた解析  155
  E.プロスタノイドに関連する薬物  155
   1.サイクロオキシゲナーゼ阻害薬  155
   2.プロスタノイド合成酵素阻害薬  155
   3.プロスタノイドおよびその誘導体  155
   4.プロスタノイド受容体拮抗薬  156
 11.ナトリウム利尿ペプチドおよびNO  <中木敏夫>  157
  A.ナトリウム利尿ペプチドファミリー  157
   1.リガンド  157
   2.膜結合型グアニル酸シクラーゼ受容体  158
   3.生理機能  159
   4.治療薬  159
  B.NO  159
   1.構造  159
   2.NO生成酵素  160
   3.シグナル伝達  160
   4.NOの生体内半減期  162
   5.作用  162
   6.NO関連薬  163
 12.タキキニン受容体および神経ペプチド  <斎藤亮 高野行夫>  165
  A.タキキニン受容体  165
   1.構造  165
   2.前駆体遺伝子と生合成経路  166
   3.受容体サブタイプ  167
   4.受容体の分布と生理的役割  167
   5.受容体拮抗薬と臨床応用への可能性  170
  B.他の神経ペプチド  171
   1.バソプレシン受容体  171
 13.エンドセリン  <後藤勝年>  174
  A.ETの生合成と生体内運命  174
   1.内皮細胞におけるET−1の生合成経路  174
   2.ET−1の生体内運命  177
  B.ET−1の作用と作用機構  178
   1.ET−1の薬理作用  178
   2.ET受容体  178
   3.作用機構(細胞内シグナル伝達)  179
  C.内因性ET−1 の役割  180
   1.生理的役割  180
   2.病態生理的役割  181
 14.成長因子およびサイトカイン  <野村靖幸>  182
  A.ニューロトロフィン  182
   1.ニューロトロフィン受容体  182
   2.細胞内情報伝達機構  183
  B.その他の成長因子  183
   1.成長因子受容体  184
   2.細胞内情報伝達  184
  C.サイトカイン  185
   1.サイトカインの特徴  186
   2.サイトカインの生体内での作用  186
   3.サイトカイン受容体  187
  D.成長因子とサイトカインの臨床応用  189
 15.オレキシン  <櫻井武>  190
  A.オレキシンとその受容体  190
  B.オレキシン神経系  191
   1.オレキシン産生神経の局在とその投射系  191
   2.オレキシン神経の入力系  192
  C.オレキシンの薬理作用  192
  D.オレキシンと睡眠・覚醒  192
  E.オレキシンと摂食行動  193
  F.オレキシン神経の生理的役割  194
■IV.ホルモンと薬理  196
 1.下垂体前葉ホルモン受容体  <大野裕治>  196
   1.下垂体前葉ホルモンの種類  197
   2.下垂体前葉機能異常  197
  A.成長ホルモン  199
   1.構造と産生・分泌  199
   2.生理作用  200
  B.プロラクチン  201
   1.構造と産生・分泌  201
   2.生理作用  201
  C.甲状腺刺激ホルモン  202
   1.構造と産生・分泌  202
   2.生理作用  202
  D.卵胞刺激ホルモン  203
   1.構造と産生・分泌  203
   2.生理作用  204
  E.黄体形成ホルモン  204
   1.構造と産生・分泌  204
   2.生理作用  205
  F.副腎皮質刺激ホルモン  205
   1.構造と産生・分泌  205
   2.生理作用  206
 2.下垂体後葉ホルモン受容体  <遠藤仁 細山田真>  208
  A.下垂体後葉と分泌ホルモン  208
  B.バソプレシン受容体  209
   1.V1受容体  209
   2.V2受容体  210
  C.オキシトシン受容体  211
 3.膵ホルモン受容体の薬理  <坂上元祥 春日雅人>  213
  A.インスリンとインスリン受容体  213
   1.インスリンの合成  213
   2.インスリンの分泌  214
   3.インスリン受容体とシグナル伝達  214
   4.インスリン受容体の分布と生理作用  215
   5.臨床応用  216
  B.グルカゴンとグルカゴン受容体  216
   1.グルカゴンの合成と分泌  216
   2.グルカゴン受容体とシグナル伝達  216
   3.グルカゴン受容体の分布と生理機能  217
   4.臨床応用  217
  C.ソマトスタチンとソマトスタチン受容体  218
   1.ソマトスタチンの合成と分泌  218
   2.ソマトスタチン受容体とシグナル伝達  218
   3.ソマトスタチン受容体の分布と生理機能  218
   4.臨床応用  219
  D.膵ポリペプチドと膵ポリペプチド受容体  219
   1.膵ポリペプチドの合成と分泌  219
   2.膵ポリペプチド受容体とシグナル伝達  219
   3.膵ポリペプチド受容体の分布と生理機能  219
   4.臨床応用  219
 4.ステロイドホルモン受容体  <川村将弘>  220
  A.概説  220
  B.ステロイドホルモン受容体  221
   1.構造  221
   2.DNAとの相互作用  222
   3.ホルモン作用の発現  222
   4.受容体異常症  223
 5.甲状腺ホルモン受容体  <戸村秀明 岡島史和>  224
  A.甲状腺ホルモン受容体の性質  225
  B.甲状腺ホルモン受容体の多様性  225
  C.甲状腺ホルモン受容体が結合すDNA配列  226
  D.甲状腺ホルモン受容体の機能ドメイン構造  226
  E.甲状腺ホルモン受容体の二量体(ダイマー)形成機能  227
  F.甲状腺ホルモンによる転写の活性化  227
  G.遺伝子改変マウスを用いた甲状腺ホルモン受容体の解析  228
  H.甲状腺ホルモン受容体を介した甲状腺ホルモンによる転写抑制と疾患  229
   1.甲状腺ホルモン不応症  229
  I.甲状腺ホルモン受容体の他の特徴  230
 6.カルシウム調節ホルモン  <福本誠二>  231
  A.PTH  231
   1.PTHの作用とPTH受容体  231
   2.PTHの合成,分泌調整  233
  B.1,25(OH)2D  233
   1.1,25(OH)2D合成調節  233
   2.1,25(OH)2Dの作用とビタミン D 受容体  235
  C.PTHrP  236
  D.カルシトニン  237

3.神経系の薬理  <石川紘一>  239
  A.神経系の基本的事項  240
   1.ニューロン学説  240
   2.中枢神経系の特徴  247
   3.中枢神経系に作用する薬物  247
  B.全身麻酔薬  248
   1.全身麻酔薬の歴史  249
   2.全身麻酔薬の作用機序  249
   3.全身麻酔の徴候  250
   4.吸入麻酔薬の吸収・分布  251
   5.麻酔前投薬  253
   6.吸入麻酔薬  254
   7.静脈内麻酔薬  256
  C.局所麻酔薬  259
   1.局所麻酔薬の適用方法  260
   2.局所麻酔薬の分類  260
   3.局所麻酔薬の体内動態  261
   4.局所麻酔薬の特徴  261
  D.鎮静・睡眠薬  261
   1.睡眠の生理機構  261
   2.睡眠障害と薬物治療  263
   3.睡眠薬  264
  E.疼痛と鎮痛薬  269
  F.抗痙攣薬  276
   1.てんかんの分類  276
   2.抗てんかん薬の作用機序  277
   3.化学的分類と薬理作用  278
   4.てんかん治療の原則  282
  G.中枢性筋弛緩薬  283
   1.中枢性筋弛緩薬  283
  H.抗パーキンソン病薬  285
   1.ドパミン作動薬  286
   2.抗コリン作動薬  288
   3.アドレナリン作動薬  289
  I.中枢神経興奮薬  289
   1.キサンチン誘導体  289
  J.抗精神病薬  290
   1.統合失調症  290
   2.抗精神病薬の分類  291
  K.抗うつ薬  296
   1.モノアミン再吸収阻害薬  297
   2.選択的セロトニン再吸収阻害薬の抗うつ作用  300
   3.モノアミン酸化酵素阻害薬  301
  L.抗そう薬  301
   1.リチウム(炭酸リチウム)  301
   2.その他の薬物  302
  M.抗不安薬  303
   1.ベンゾジアゼピン誘導体  303
  N.催幻覚物質  307

4.血液・免疫・代謝系の薬理  309
■I.血液系  <丸義朗>  310
  A.血球成分  310
  B.貧血治療薬  311
   1.鉄欠乏性貧血  311
   2.悪性貧血  312
   3.腎性貧血  312
  C.その他造血促進薬  313
  D.抗血栓薬  313
   1.血栓形成  313
   2.血栓性疾患  316
   3.血栓性疾患の薬物療法  317
   4.播種性血管内凝固症  321
   5.その他止血薬  322
■II.免疫(炎症)系  <丸義朗>  323
  A.生体防御  323
  B.免疫システム  323
  C.処理システム  323
  D.抗炎症薬  326
   1.非ステロイド抗炎症薬  326
   2.ステロイド  326
   3.疾患修飾性抗リウマチ薬  328
   4.慢性関節リウマチの分子標的治療  329
   5.免疫賦活薬  330
■III.代謝系  <丸義朗>  331
  A.痛風  331
   1.核酸代謝と作用機転  331
   2.痛風治療薬  331
  B.高脂血症  333
   1.脂質担体  333
   2.粥状硬化の機構  334
   3.薬物治療  334
  C.ビタミン  337

5.呼吸器系の薬理  <上川雄一郎>  339
  A.呼吸器系の基本的事項  340
   1.呼吸の生理  340
   2.呼吸器疾患の病態  342
  B.呼吸促進薬  344
  C.呼吸鎮静薬  346
  D.鎮咳薬  346
  E.去痰薬  348
  F.気管支喘息治療薬  349
  G.慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬  354

6.循環器系の薬理  <橋本敬太郎>  357
  A.心・循環系の基本  358
   1.心筋の収縮  358
   2.心臓の興奮  362
   3.血管系  366
  B.強心薬  368
   1.心不全  368
   2.強心薬の作用機序と分類  369
   3.ジギタリス  369
   4.β受容体刺激薬  373
   5.新しい強心薬  374
  C.抗不整脈薬  374
   1.不整脈  374
   2.抗不整脈薬の作用機序と分類  375
   3.Naチャネル抑制薬  378
   4.β遮断薬  380
   5.K チャネル抑制薬  380
   6.Ca 拮抗薬  380
  D.抗狭心症薬  380
   1.狭心症  380
   2.抗狭心症薬の作用機序と分類  381
   3.硝酸剤  382
   4.Ca拮抗薬  383
   5.β遮断薬  383
   6.Kチャネル開口薬  384
  E.降圧薬  384
   1.高血圧  384
   2.降圧薬の作用機序と分類  385
   3.中枢性交感神経遮断薬  386
   4.末梢性交感神経遮断薬  387
   5.血管拡張薬  388
   6.降圧利尿薬  389
   7.アンジオテンシン抑制薬  389

7.消化器系の薬理  <後藤勝年 松崎靖司>  391
  A.消化器系の基本的事項  392
   1.消化管の解剖と生理  392
   2.肝臓,胆嚢の解剖と生理  393
   3.膵臓の解剖と生理  394
   4.消化管機能のまとめ  395
  B.抗消化性潰瘍薬  398
   1.潰瘍治療の歴史と現況  398
   2.攻撃因子抑制薬  400
   3.防御因子増強薬  401
  C.制吐薬  403
   1.嘔吐の仕組み  403
   2.中枢性制吐薬  403
   3.中枢および末梢性制吐薬  404
  D.肝臓疾患治療薬  405
   1.インターフェロンの作用機序  405
   2.その他の肝臓薬  406
  E.利胆薬  406
   1.ウルソデオキシコール酸とケノデオキシコール酸  407
   2.デヒドロコール酸  407
   3.オサルミド  407
   4.ヒメクロモン  407
  F.膵炎治療薬  408
   1.注射薬  408
   2.経口薬  408
  G.鎮痙薬  408
   1.副交感神経遮断性・向平滑筋性鎮痙薬  409
   2.COMT阻害薬  409
  H.下痢・整腸薬,緩下剤  409
   1.下痢  409
   2.緩下剤  410

8.泌尿−生殖系の薬理  <遠藤仁 副島昭典 細山田真>  413
  A.泌尿−生殖系の基本的事項  414
   1.腎臓に関する基本的知識  414
  B.体液障害改善薬  426
   1.利尿薬  426
   2.抗利尿薬  434
  C.酸−塩基平衡維持療法,水電解質代謝関連薬  434
   1.体液組成に関する基本的知識  434
   2.脱水症の種類と症状  435
   3.輸液剤の種類と投与法  435
  D.腎炎,ネフローゼ治療薬  436
   1.腎糸球体病変に関する基本的知識  436
   2.慢性糸球体腎炎の治療  441
  E.排尿障害治療薬  444
   1.排尿障害,尿閉の原因と鑑別診断  444
   2.薬剤による排尿障害  445
   3.前立腺肥大の治療薬  445
  F.子宮収縮薬,弛緩薬  445

9.内分泌系の薬理  <川村将弘 景山茂>  447
  A.内分泌系の基本的事項  448
  B.糖尿病治療薬  450
   1.インスリン非分泌系薬  450
   2.インスリン分泌系薬  453
   3.インスリン製剤  455
   4.アルドース還元酵素阻害薬  459
  C.抗甲状腺薬  460
   1.甲状腺ホルモンの合成  460
   2.甲状腺機能亢進症  460
   3.抗甲状腺薬  461
  D.骨代謝関連薬  461
   1.骨粗鬆症の病態生理  461
   2.治療薬  462
  E.性機能関連薬  464
   1.男性ホルモン(アンドロゲン)およびその関連薬  464
   2.卵胞ホルモン(エストロゲン)および関連薬  466
   3.黄体ホルモンおよび関連薬  467
   4.経口避妊薬  467

10.抗感染症薬  <三浦克之>  469
  A.抗感染症薬の基本事項  471
   1.作用機序  471
   2.感染症に対する有効性を規定する因子  472
   3.化学療法薬の副作用  475
  B.抗菌薬  475
   1.細胞壁の合成阻害薬  475
   2.タンパク合成阻害薬  482
   3.葉酸合成阻害薬  485
   4.DNA topoisomerase阻害薬  487
   5.嫌気性菌に有効な薬物  487
   6.抗結核薬  487
  C.抗真菌薬  488
   1.アムホテリシンB  488
   2.キャンディン系抗真菌薬  489
   3.フルシトシン  489
   4.アゾール系抗真菌薬  489
  D.抗ウイルス薬  490
   1.抗ヘルペス薬  490
   2.抗インフルエンザ薬  492
   3.抗肝炎ウイルス薬  493
  E.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症治療薬  494
   1.ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬  494
   2.非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬  495
   3.プロテアーゼ阻害薬  496

11.抗悪性腫瘍薬  <安藤雄一 佐々木康綱>  497
  A.抗癌剤の分類  499
   1.アルキル化剤  499
   2.代謝拮抗剤  499
   3.抗腫瘍性抗生物質  503
   4.微小管阻害剤  503
   5.トポイソメラーゼ阻害剤  504
   6.白金(プラチナ)製剤  505
   7.ホルモン製剤 506
   8.BRM製剤  507
   9.分子標的阻害剤  507
   10.その他  508
  B.抗癌剤の使用に際して考慮すべきこと  508
   1.年齢  508
   2.全身状態  509
   3.局所療法が優先する場合  509
   4.臓器機能  509
   5.前治療歴  510
   6.合併症の有無  510
   7.その他  510
   8.インフォームドコンセント  510

12.臨床薬理学  511
■I.Pharmacokinetics  <安原一 内田直樹>  512
  A.基本的事項  512
   1.吸収  512
   2.分布  516
   3.代謝  516
   4.排泄  517
  B.薬物動態学的パラメータ  518
   1.単回投与時の薬物動態  518
   2.連続投与時の薬物動態  520
   3.薬物動態学的パラメータの変化する状況  521
  C.母集団薬物動態  521
  D.ベイズ(Bayes)推定手法  522
  E.線形・非線形体内動態  523
■II.Pharmacodynamics  <安原一 内田直樹>  524
  A.薬物受容体と薬理作用  524
  B.用量濃度反応関係  525
   1.用量−反応関係  525
   2.薬力学モデル  528
   3.薬力学モデルと薬物動態学モデルの結合  530
   4.間接的な反応の薬力学モデル  531
■III.新薬の開発  <小林真一>  534
  A.非臨床試験(前臨床試験)  534
  B.第1相臨床試験  536
  C.第2相試験  537
  D.第3相試験  538
  E.第4相試験  539
■IV.薬物代謝  <立石智則>  540
■V.薬物相互作用  <小林真一>  544
  A.薬物動態学的相互作用  544
   1.吸収相  545
   2.分布相  546
   3.代謝相  546
   4.排泄相  546
  B.薬力学的相互作用  548
■VI.特殊患者・病態での臨床薬理  <立石智則>  550
  A.妊婦と薬物  550
   1.胎児への薬物の影響  550
   2.妊娠による薬物動態・薬効の変化  550
   3.母乳への薬物の移行  551
  B.新生児,幼児  551
   1.新生児の薬物動態の特徴  551
   2.新生児・幼児期の薬効の特徴  552
  C.高齢者での薬物動態と薬効の特徴  552
  D.心不全  553
  E.腎不全  553
  F.肝不全  554
■VII.TDM  <小林真一>  556
  A.薬物の有効血中濃度(治療域)  556
  B.定常状態の概念と蓄積係数  557
  C.TDMの必要な薬物  558
■VIII.臨床試験の倫理性  <小林真一>  560
   1.臨床試験実施計画書  561
   2.臨床試験審査委員会  561
   3.同意取得  562

索引  563
薬品名索引  575