3版の序
 2004年は,中四国の台風による,集中豪雨災害,さらに100年ぶりとも言われる新潟の大地震,さらにスマトラ沖の大津波など,世界的に大災害の続いた年でした.
 2005年が明けて,再び中越地方の豪雪被害が出ております.さらに米国では,ハリケーンによるニューオリンズ地方の大水害がありました.今年はこれで暗いニュースは打ち止めとして,明るく希望にあふれた一年になることを切望しております.
 さて,本書の初版が出版されたのは,1999年3月でした.その後,初版2刷,さらに第2版が2002年5月に出版されました.本書が非常に好評を博したため,このたび,第3版を出版させて頂くことになりました.
 この3年間,ゲノム創薬による新薬が続々と登場して参りました.そこで,最近の治療法の進歩,開発された新薬を全面的に取り入れて,改訂第3版を出版することに致しました.
 また,この2〜3年間に発表された種々のガイドラインも掲載させて頂きました.
 本書はコンパクトな小冊子ですが,内容は豊富であり,初版,第2版と同様に,医学生・レジデント・内科医・他領域の諸先生方に,手頃な処方例として,お役に立つものと確信しております.

2005年11月
北村 諭
鈴木信夫



初版の序
 著者は呼吸器内科を専門としており,外来診療も呼吸器外来ということで,ほとんど全員が呼吸器疾患の症例である.しかし,近年,特に高齢者が増加してきたため,喘息,COPDといった呼吸器疾患以外に,高血圧,糖尿病,高脂血症などを合併している症例が増加している.その他にも更年期障害,前立腺肥大症,腰痛症,五十肩など他領域の疾患を合併していることが多い.
 このような場合に,症状が重篤ではなく,また鑑別診断上で問題がなければ,専門医へ紹介することなく,自分で処方することが多い.その際に,実際に,どのような処方をすべきか迷うことがしばしばある.
 そこで,外来で,内科医やレジデントが気軽に利用できる処方集が必要であると考え,本書を出版することにした.
 内容としては,呼吸器,循環器,消化器,肝,胆,膵,血液,内分泌,代謝,神経,腎,膠原病,アレルギー,感染症といった内科系疾患を取り上げた.その他に,外来で遭遇する機会の多い境界領域の精神科,整形外科,泌尿器科,耳鼻科,皮膚科,産婦人科と中毒についても主要なものを取り上げた.
 本書はコンパクトな小冊子であるが,内容は豊富であり,約300疾患につき,約1000の処方例を上げて解説した.ポケットに入れて,気軽にご利用いただければ幸甚である.

1999年1月
北村 諭
鈴木信夫


目次

1◆呼吸器疾患  1
 1.咳嗽  1
 2.喀痰  1
 3.血痰・喀血  1
 4.感染性肺疾患  2
 5.気道閉塞性疾患  17
 6.アレルギー性肺疾患  24
 7.塵肺  25
 8.間質性肺炎  26
 9.放射性肺臓炎  30
 10.嚥下性肺炎  30
 11.サルコイドーシス  31
 12.肺好酸球性肉芽腫症  31
 13.Wegener肉芽腫症  31
 14.原発性肺癌  32
 15.胸膜炎  38
 16.呼吸中枢の異常  39

2◆循環器疾患  41
 1.狭心症  41
 2.心筋梗塞  42
 3.慢性心不全  43
 4.急性心不全  44
 5.不整脈  44
 6.僧帽弁狭窄症  47
 7.僧帽弁閉鎖不全  48
 8.拡張型心筋症  48
 9.肥大型心筋症  48
 10.心筋炎  49
 11.急性心外膜炎  49
 12.感染性心内膜炎  50
 13.肺塞栓症  50
 14.肺性心  51
 15.大動脈炎症候群  51
 16.閉塞性血栓性血管炎(Burger病)  52
 17.閉塞性動脈硬化症(ASO)  52
 18.Raynaud症候群  52
 19.本態性高血圧  53
 20.低血圧  54

3◆消化器疾患  56
 1.悪心・嘔吐  56
 2.胸焼け  56
 3.げっぷ  56
 4.胃もたれ  56
 5.腹部膨満  56
 6.しゃっくり  56
 7.下痢  57
 8.便秘  57
 9.口内炎  57
 10.逆流性食道炎  58
 11.カンジダ性食道炎  58
 12.食道アカラシア  58
 13.食道静脈瘤  59
 14.食道癌  59
 15.急性胃炎  59
 16.慢性胃炎  60
 17.胃・十二指腸潰瘍  60
 18.胃癌  61
 19.胃悪性リンパ腫(低悪性度 MALTリンパ腫)  61
 20.胃切除後症候群  61
 21.過敏性腸症候群  62
 22.腸炎  62
 23.Crohn病  63
 24.潰瘍性大腸炎  64
 25.薬剤性腸炎  64
 26.虚血性腸炎  65
 27.大腸憩室炎  65
 28.癒着性イレウス  65
 29.痔核  66
 30.大腸癌(手術不能例・非治癒切除例)  66

4◆肝・胆・膵疾患  67
 1.急性肝炎  67
 2.劇症肝炎  67
 3.慢性肝炎  68
 4.B型肝炎院内感染事故  70
 5.自己免疫性肝炎  70
 6.アルコール性肝障害  71
 7.薬物性肝障害  72
 8.肝性脳症  72
 9.肝硬変  73
 10.原発性胆汁性肝硬変(PBC)  73
 11.ヘモクロマトーシス  74
 12.肝膿瘍  74
 13.原発性肝癌  74
 14.胆石症  75
 15.胆嚢炎  76
 16.急性膵炎  76
 17.慢性膵炎  76

5◆血液疾患  77
 1.貧血  77
 2.真性赤血球増多症  80
 3.顆粒球減少症  80
 4.骨髄異形成症候群(MDS)  80
 5.急性白血病  81
 6.慢性白血病  81
 7.成人T細胞白血病  82
 8.悪性リンパ腫  83
 9.多発性骨髄腫  84
 10.特発性血小板減少性紫斑病  84
 11.血栓性血小板減少性紫斑病  84
 12.血友病  84
 13.von Willebrand病  85
 14.DIC  85

6◆内分泌疾患  87
 1.下垂体性巨人症,末端肥大症  87
 2.下垂体性小人症  87
 3.無月経・乳汁漏出症候群  87
 4.尿崩症  88
 5.SIADH(ADH不適合分泌症候群)  88
 6.甲状腺機能亢進症  88
 7.甲状腺機能低下症  89
 8.橋本病  89
 9.亜急性甲状腺炎  90
 10.副甲状腺機能亢進症  90
 11.副甲状腺機能低下症  90
 12.Cushing症候群  91
 13.Addison病  91
 14.副腎クリーゼ  91
 15.原発性アルドステロン症  91
 16.褐色細胞腫  92

7◆代謝性疾患  93
 1.糖尿病  93
 2.低血糖発作  95
 3.高脂血症  95
 4.高尿酸血症  96
 5.肥満症  97
 6.電解質異常  97
 7.ヘモクロマトーシス  99

8◆神経疾患  100
 1.頭痛  100
 2.末梢神経障害  102
 3.一過性脳虚血発作(TIA)  102
 4.脳梗塞(急性期)  103
 5.脳出血(急性期)  104
 6.くも膜下出血(急性期)  104
 7.脳血管障害後遺症  105
 8.ヘルペス脳炎  106
 9.その他の脳炎  106
 10.結核性髄膜炎  107
 11.真菌性髄膜炎  107
 12.脳膿瘍  108
 13.Parkinson病  108
 14.Alzheimer病  109
 15.Wilson病  109
 16.本態性振戦  110
 17.多発性硬化症  110
 18.Guillain-Barre症候群  111
 19.重症筋無力症  111
 20.周期性四肢麻痺  112
 21.顔面神経麻痺  112
 22.痴呆  113

9◆腎疾患  114
 1.無症候性蛋白尿・血尿  114
 2.IgA腎症  114
 3.急性腎炎症候群  114
 4.急速進行性腎炎  115
 5.慢性腎炎症候群  116
 6.ネフローゼ症候群  116
 7.急性腎不全  117
 8.慢性腎不全  118
 9.糖尿病性腎症  119
 10.ループス腎炎  119
 11.紫斑病性腎炎  120
 12.溶血性尿毒症症候群  120
 13.腎血管性高血圧  120
 14.多発性嚢胞腎  121
 15.尿細管疾患  121
 16.腎性貧血  122
 17.腎細胞癌  122

10◆膠原病  123
 1.慢性関節リウマチ(RA)  123
 2.全身性エリテマトーデス(SLE)  124
 3.多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)  125
 4.進行性全身性硬化症(PSS)  125
 5.多発性動脈炎(PN)  126
 6.混合性結合組織病(MCTD)  127
 7.Sjogren症候群  127
 8.Behcet病  128
 9.Wegener肉芽腫症  129

11◆アレルギー性疾患  130
 1.食物アレルギー  130
 2.花粉症  130
 3.アレルギー性疾患における減感作療法  131

12◆感染症  132
 1.細菌感染症  132
 2.ウイルス感染症  137
 3.真菌感染症  138
 4.その他の感染症  139

13◆精神科境界領域  142
 1.神経症  142
 2.自律神経失調症  142
 3.うつ病,うつ状態  143
 4.パニック障害  143
 5.双極性障害,そう状態  143
 6.不眠症  144
 7.てんかん  146
 8.アルコール依存症  147

14◆整形外科境界領域  148
 1.骨粗鬆症  148
 2.腰痛症  149
 3.頚肩腕症候群  149

15◆泌尿器科境界領域  150
 1.前立腺肥大症  150
 2.尿失禁  150
 3.尿路感染症  151
 4.尿路結石  152

16◆耳鼻科境界領域  154
 1.急性中耳炎  154
 2.慢性副鼻腔炎  154
 3.Meniere病  154
 4.突発性難聴  155
 5.(慢性の難聴に伴う)耳鳴  155
 6.咽喉頭異常感症  156

17◆皮膚科境界領域  157
 1.皮膚掻痒症  157
 2.蕁麻疹  157
 3.皮膚真菌症  158
 4.褥瘡  158

18◆産婦人科境界領域  160
 1.妊婦の処方  160
 2.更年期障害  161

19◆中毒  163
 1.農薬中毒  163
 2.金属中毒  164
 3.青酸化合物中毒  164
 4.薬物中毒  164

20◆その他  166
 1.癌性疼痛  166

医薬品索引  167
症候・疾患索引  179