1895年にWCレントゲンがX線を発見し,単純X線撮影という新たな疾病の検査方法が出現した.その後,種々の造影検査,核医学検査,CT,超音波検査,MRIと様々な検査方法が登場し,画像検査は現在の診断学では欠くことのできない検査の一つとなっている.

 画像検査は医師のみで行うことはできず,医師に加え診療放射線技師,看護師,事務員の4者の協力のもとに遂行されている.それぞれに役割があるが,目的とするところは画像検査を安全,円滑,正確に行うことである.

 看護師の役割は画像検査の介助を行うことにより検査を円滑,正確に行うだけではなく,被検者に密に接し心身状態を観察し,検査が安全に行われることをチェック,管理することである.さらに,被検者の検査に対する不安感を取り除き,安心感をもたせることが重要な役割である.上記の役割を果たすためには画像検査に対する知識をもっている必要がある.

 医療でも情報公開は当然のこととなり,画像検査を行う場合にも被検者に目的,利益,不利益を充分に説明して承諾,同意を得ることが必要である.さらに,被検者の知識も増加しており様々な質問,疑問を受けることも少なくなくなっている.したがって,画像検査では検査に実際に従事する看護師のみではなく,被検者に携わる外来,病棟の看護師も画像検査の知識を持っていなければならない.

 この企画では上記の目的のため看護師の知っておくべき単純X線検査,CT,超音波検査,核医学検査,MRIの検査の概要,造影検査の副作用,被曝,放射線科管理について記した.

 本書が画像検査が安全,円滑,正確に行われるための一助となると確信している.

  2004年3月

    河野 敦


1 画像診断総論  〈河野 敦〉 1

 A.画像診断とは何か  1

 B.画像診断の歴史  3

 C.放射線科,画像診断科とは何か  5

2 単純X線  〈大和 実〉 6

 A.原理・特徴

  1.X線発生装置(X線管球・フィルター・絞り)  6

  2.放射線の測定器(グリッド・フィルム・増感紙・イメージングプレート)  7

 B.装置  9

 C.適応  12

  1.頭部・頸部  12

  2.胸部  12

  3.腹部  12

  4.脊椎・四肢  12

 D.前処置  12

 E.正常像  12

 F.代表的な疾患の画像  17

 G.看護上の注意点  25

3 血管造影とIVR  〈蓮尾金博〉 26

 A.血管造影  26

  1.原理・特徴  26

   a.利点  27

   b.欠点  28

  2.合併症  28

  3.目的  28

  4.適応(主なもの)  28

  5.正常像  30

  6.代表的な疾患の画像:血管造影診断  32

 B.インターベンショナルラジオロジー  34

  1.現在行われている主な血管系IVR手技  34

  2.代表的な血管系IVRの略語  34

  3.代表的な疾患の主な画像  36

 C.装置  42

  1.DSAの利点・欠点  43

  2.血管造影に使用する器材・薬剤  43

 D.IVRの器材  44

  塞栓物質(主なもの)  44

 E.前処置・検査前後の注意点  44

  1.検査前  45

  2.前処置  45

  3.検査後  50

 F.看護上の注意点  50

  1.検査前  50

  2.検査中  51

  3.検査後  51

4 CT  〈浮洲龍太郎,鈴木美奈子,櫛橋民生〉 52

 A.原理・特徴  52

 B.装置  53

 C.適応  54

  1.脳神経  54

  2.頭頸部  55

  3.脊椎  55

  4.胸部  55

  5.腹部・骨盤部  56

 D.前処置・検査前後の注意点  56

  1.検査前  56

   a.被曝について  56

   b.禁食  56

   c.水分制限  56

   d.抑制・鎮静  56

   e.造影CT  56

   f.急変時に備えて  58

  2.検査後  58

 E.正常像  59

 F.代表的な疾患の画像  61

 G.看護上の注意点  64

  1.入室から検査開始まで  64

  2.副作用発生時の緊急ホットライン構築  65

  3.備品の定期チェック  65

   a.薬品・物品の在庫管理  65

   b.緊急セット  65

   c.酸素ボンベ・吸引器  65

   d.造影剤  66

 H.検査手順  66

  造影方法  66

 I.造影剤の副作用  68

  1.副作用の発生機序  68

   a.造影剤の物理・化学的毒性  69

   b.アナフィラキシー様反応  69

   c.心理的因子  69

  2.軽度の副作用  69

  3.中等度〜重篤な副作用  69

  4.副作用時の基本処置例  70

5 MRI  〈八尾由紀〉 72

 A.原理・特徴  72

 B.MRI装置  72

 C.適応  75

  1.頭頸部  75

  2.体幹部  76

  3.四肢,脊椎  76

 D.前処置・検査前後の注意点  76

  1.検査前  78

  2.前処置  80

  3.検査後  80

  4.造影剤について  80

 E.正常像  81

 F.代表的な疾患の画像  87

 G.看護上の注意点  91

6 超音波  〈柚木雅至〉 93

 A.原理・特徴  93

  1.長所  93

  2.短所  93

 B.装置  93

 C.適応  94

1.頭蓋内  94

2.唾液腺  95

3.甲状腺  95

4.頸動脈  95

5.乳腺  95

6.胸部  95

7.心・大血管  95

8.肝臓  96

9.胆嚢  96

  10.胆管  96

  11.膵臓  96

  12.脾臓  96

  13.腎臓  96

  14.副腎  97

  15.消化管  97

  16.膀胱  97

  17.前立腺  97

  18.子宮  97

  19.卵巣  98

  20.胎児(産科)  98

  21.血管  98

  22.軟部組織  98

  23.超音波ガイド下穿刺術  98

  24.その他の新しい超音波検査法  99

   a.パワードプラ法  99

   b.超音波内視鏡  99

   c.3次元超音波検査  99

   d.ハーモニックイメージング法  99

   e.造影超音波検査  100

 D.前処置・検査前後の注意点  100

  1.腹部検査の場合  100

  2.骨盤検査の場合  100

  3.心臓,頭頸部,乳腺,産科(胎児)などの場合  101

 E.正常像  102

 F.代表的疾患の超音波像  106

 G.看護上の注意点  109

7 核医学  〈小泉 潔〉 110

 A.原理・特徴  110

 B.核腫・放射性医薬品  112

 C.装置・撮影法  113

 D.適応・正常像・代表的疾患の異常像  115

 E.前処置・検査前後の注意点  122

  1.放射性医薬品の取り扱い上の注意点  122

  2.副作用  123

  3.前処置・放射性医薬品投与時の注意点  124

 F.看護上の注意点  126

  1.患者への検査説明  126

  2.放射性医薬品を投与された患者の注意点  126

8 造影剤の副作用と対策  〈河野 敦〉 129

 附)ヨード造影剤の副作用  129

  1.副作用の発現  129  

  2.副作用に対する対策  129

9 放射線防護と健康管理  〈河野 敦〉 136

 A.放射線障害  136

  1.身体的影響  136

  2.遺伝的影響  138

 B.医療被曝と放射線防護  139

  1.医療被曝  139

   妊娠と放射線検査  142

  2.放射線防護  143

   a.患者の防護  143

   b.介助者の防護  144

 C.放射線管理  145

索引  147