第3版の序

 「精神科処方ノート」の初版を上梓してから5年が経過した.その間にまた新たな向精神薬が臨床に登場し用いられるようになっている.本書の姉妹編「精神科治療薬ハンドブック」は既に改訂4版が出版されており,常に新しい情報が記載されている.それらの薬剤を臨床医が使い慣れ,その経験を他の医療者に伝えるまでには,ある程度の期間を必要としよう.本書には,臨床の最前線で活躍するベテランの精神科医が,日常の実践で得られた最新の処方の知恵やコツが凝縮されている.効果的かつ安全な薬物使用の指針としてお役に立つよう願っている.

2006年6月
上島国利


目次

I.向精神薬の合理的な用い方…〈上島国利〉 1
   1.薬物療法の開始に際して
   2.薬物療法の実際
II.精神障害とその治療 5
   1.統合失調症…〈井口 喬〉  6
     A.破瓜型統合失調症
     B.緊張型統合失調症
     C.妄想型統合失調症
     D.統合失調・感情障害(分裂感情障害)
     E.急性期統合失調症
     F.慢性期統合失調症
   2.躁うつ病(気分障害)…〈工藤行夫〉 27
     A.単極性うつ病
     B.軽症うつ病
     C.仮面うつ病
     D.老年期うつ病
     E.児童・思春期のうつ病
     F.難治性うつ病
     G.双極性うつ病
   3.不安障害…〈太田有光〉 52
     A.パニック障害
     B.全般性不安障害
     C.社会不安障害(対人恐怖症)
     D.強迫性障害(強迫神経症)
     E.外傷後ストレス障害(PTSD)
     F.ヒステリー(解離性障害)
     G.心気症
   4.心身症…〈大坪天平〉 76
     A.過敏性腸症候群(IBS)
     B.過換気症候群
   5.パーソナリティ障害…〈平島奈津子〉 84
     A.境界性パーソナリティ障害
   6.器質性精神病・症状性精神病…〈岡島由佳〉 90
   7.認知症…〈磯野 浩〉 97
     A.アルツハイマー病
     B.血管性認知症
   8.知的障害(精神遅滞)…〈野嵜善郎〉 105
   9.アルコール依存症…〈三村 將〉 108
     A.急性期
     B.慢性期
     C.振戦せん妄
   10.薬物による精神障害…〈中込和幸〉 117
     A.覚せい剤中毒
     B.有機溶媒中毒
   11.産褥精神病…〈宍倉久里江〉 128
     A.産後うつ病
   12.摂食障害…〈平島奈津子〉 134
     A.神経性無食欲症
     B.神経性大食症
   13.睡眠障害…〈巽 雅彦〉 142
     A.神経質症不眠症
     B.夢中遊行症(夢遊病)
     C.夜驚症
     D.悪夢
     E.ナルコレプシー,周期性傾眠症
   14.小児期および青年期の精神障害…〈野嵜善郎 尾鷲登志美〉 161
     A.注意欠陥-多動性障害
     B.チック障害
     C.抑うつ状態
     D.不登校
   15.てんかん…〈稲本淳子〉 173
     A.全般発作
     B.部分発作
     C.てんかん発作重積状態
III.精神症状とその治療 185
   1.興奮状態…〈坂井俊之〉 186
     A.意識障害を伴う興奮状態
     B.緊張病性興奮
     C.躁性興奮
     D.てんかんによる興奮
     E.知的障害にみられる興奮
   2.幻覚…〈小山田静枝〉 200
     A.幻聴
     B.幻視
     C.その他の幻覚
   3.妄想…〈小山田静枝〉 205
     A.統合失調症の妄想
     B.統合失調症以外の疾患の妄想
   4.感情鈍麻,無関心,意欲の減退…〈小山田静枝〉 210
   5.昏迷状態…〈坂井俊之〉 213
     A.緊張病性昏迷
     B.うつ病性昏迷
     C.ヒステリー性昏迷
   6.躁状態…〈宍倉久里江〉 217
   7.抑うつ状態…〈宍倉久里江〉 220
   8.不安,緊張,焦燥…〈宍倉久里江〉 223
   9.強迫症状…〈宍倉久里江〉 226
   10.恐怖症状…〈宍倉久里江〉 229
   11.あれこれ身体の症状を訴える(心気症状)…〈吉邨善孝〉 232
     A.神経症の心気症状
     B.その他の疾患の心気症状
   12.意識障害…〈山田光彦〉 240
     A.せん妄
     B.錯乱,アメンチア,もうろう状態
   13.けいれん…〈稲本淳子〉 248
   14.夜ねむれない…〈岡島由佳〉 251
   15.体中の痛みがとれない(慢性疼痛)…〈岡島由佳〉 255
   16.物忘れがある…〈磯野 浩〉 258
IV.精神科救急,ICU〈岡島由佳〉 261
   1.精神科救急‐総説
   2.ICU症候群
V.薬物の副作用〈渡辺雅幸〉 269
     A.抗精神病薬
     B.抗うつ薬
     C.気分安定薬
     D.抗不安薬,睡眠薬
     E.抗てんかん薬
附 向精神薬一覧〈尾鷲登志美 上島国利〉 289

索 引 … 330