第3版発行の序

 1978(昭和53)年6月,筆者の編著による「輸血学」が中外医学社より初めて出版された.以来もう26年になる.その中間の1989(平成元)年6月に多くの方々のお勧めにより輸血学改訂第2版が発行されている.筆者はその2年前より日本輸血学会会長に推されてまだ非常に元気ある時代であった.改訂第2版は頁数も増えて1100頁位に達したが,筆者はその半量近くを自ら書き,不得意とする部門を当時その方面の第一人者と思われる方々に分担執筆をお願いした.本書はわが国内にとどまらず,韓国・中国・台湾等諸国でもよく読んでいただいたと聞いている.

 それ以来13年程たった一昨年,柴田洋一(東京大学; 当時),前田平生(埼玉医科大学総合医療センター),大戸斉(福島医科大学)の3人の輸血部教授の方々より,「輸血学という教科書は第2版発行以来15年に近くなり,新改訂版を作ってほしいとの声がよく耳に入ります.この際,改訂第3版を作られたらどうですか」とのお話があった.筆者は,「私はもう大変古くなったので,私自身の執筆はもうやめて,本邦トップクラスの新進気鋭の専門学者に分担執筆をお願いしたい.つきましては,あなた方3人に「輸血学」をお譲りするから分担執筆者をきめて下さい」と申し,そのようにしていただいた.その中で古くなっても一向にかまわない唯一の章である「輸血の歴史」は筆者が書くことを命ぜられたのはお笑いであった.

 当然ながらこの10数年間に輸血医学にも極めて大きい展開があった.例えば赤血球,白血球,血小板の型抗原でも,以前は抗体血清との凝集反応をみる血清学的方法による鑑別が常道であったが,今日ではその他に型物質を化学的,遺伝子学的に解析するようになり,それら型物質は多くが既に解明されている.また輸血感染症予防の検査も精度の高い「核酸増幅検査(NAT検査)」が常用されている.また臨床方面では悪性腫瘍の治療に利用される「末梢血幹細胞輸血」は輸血専門医が各科医師に協力して施行される病院が多い.そのため輸血部という名称を輸血・細胞治療部という名称に変更する施設も次第に増加しつつある.

 輸血部は臨床各科の医療を後方支援するという点で本質的に麻酔科に似ている.高度専門的な知識・技術を駆使して各科をサポートし,治療の安全化をはかるところである.そのためには欧米医学先進国のように,大学病院は申す迄もなく,大病院でも輸血をライフワークとする専門医を輸血部に置いて,輸血に関する業務・教育・研究に当たらせるようにするべきであり,そのために本書がいささかでもお役にたてば,筆者達の喜びはこれに過ぎるものはない.

 終りにあたり,初版・第2版において分担執筆をして下ったが,今回筆者と同じ立場でその席を後進に譲って下さった関口彌,古川研,小暮正久,萩野陽一郎,十字猛夫,中西敬,下山正徳,木村禧代二,岩下健三,松田道生,藤田達士,二之宮景光,水野明,小松文夫,松山四郎(執筆順)の諸先生方に心より感謝を捧げ,深く御礼申し上げる.中には物故された方々もあり,謹んで御冥福を祈り上げるものである.

  2004年5月

    編集者代表 遠山 博

初版の序

 血液が生命の源泉であることは古代人も知っていたようである.17世紀には人に仔羊の血液を輸注したというような物語りも遺されている.19世紀に入ってから,今日の感覚にかなり近い方法で,人から人への輸血が施行されたようであるが,多くの先人が苦難に満ちた茨の途を歩まれたであろうことは想像に難くない.

 20世紀の開幕とともにLandsteinerがABO式血液型を発見し,次いでHustinらが血液抗凝固剤としてクエン酸ナトリウムを開発したが,この2つの業績は輸血に対して画期的な発展をもたらした.さらに1940年,WienerらによってRh式血液型も発見され,第2次大戦を契機として欧米では保存血の普及化,献血組織の設立,血液銀行の充実化が始まった.戦後になって数年以内にLewis式その他の数十種類の赤血球型,さらに1950年代になって白血球・血小板・血清にも独自の型があって,輸血副作用の因となり得ることが解明された.これら免疫血液学の発展と,赤血球保存法(特に冷凍赤血球)や血液成分製剤輸血法の進歩は輸血近代化の双輪となった.

 以上は世界的に大量輸血の時代を招来した.そのために従来不治とされた疾患も救命され得るようになったが,その反面輸血によるウイルス肝炎の蔓延もとどまるところを知らなかった.しかしAu抗原の発見以来,なお今日輸血後肝炎征服の闘いがくりひろげられている.

 最近では血液成分輸血の思想がきわめて重視され,供血者から血小板や白血球のみを超大量選択的に分離・採取する連続血液成分遠心分離装置や自動血液型判定機なども登場するに到り,これら輸血学の展開はとどまるところを知らず,医家もこの方面の対応に戸惑うのみとなった.

 そこでこれらの領域を綜合的に研究し,教育する輸血学の独立の必要性が主張されてから既に久しい.輸血学は究極的には臨床各科の治療を補佐し,これに貢献するものであって,麻酔学とその立場がよく似ていると思う.4半世紀前,麻酔は外科医が片手間にかけていた一種の手技で,麻酔専門医はまだ本邦にほとんどいなかったが,それらの発展により欧米にならって麻酔学の独立が認められてきた.それと全く同様に輸血学もその専門医を今後早く養成しなければ,患者の安全と真に治療効果をあげる近代的な輸血の普及には到底対応してゆくことはできなくなるであろう.

 輸血学は非常に若々しい魅力にあふれた領域であるが,手引き書に乏しく,一般には理解しにくかったこともあるのではないかと思う.洋書に於てもMollisonの名著「Blood Transfusion in Clinical Medicine」があるが,そのほかでは,この方面の教科書は比較的少ない.本邦でも全く同様で,輸血に関係した著書・論文はかなり出版されているが,輸血学全般という柱を入れて,綜合的にまとめた著書は多くない.

 昭和25年,故加藤勝治先生が,第2次大戦敗戦後の打ちひしがれた本邦に欧米,特に米国の輸血に関する新知見を導入してまとめた「輸血学」を発刊された.その後昭和37年3月,村上省三・徳永栄一両先生が書かれたところの当時名著の誉れが高かった「輸血の実際」が,さらにこれに踵を接して昭和38年8月,故福田保先生の監修による「臨床輸血学」が発刊された.この両書は,昭和35年東京に於て開催された第8回国際輸血学会で発奮し,あるいは意気上った輸血学を学ぼうとする本邦の若い学者達に良好な手引きとなり,大きた影響力を与えたようである.

 しかしその後は綜合的な輸血学書の新刊にはあまり接しなかった.それはあまりにも急速に展開する輸血学に対し,輸血専門家は少数であるので対応するにいとまがなく,またその内容も高度に分化・専門化してきたこともあずかっていたためでもあろう.

 今般,各方面のおすすめ並びに中外医学杜の御依頼によって綜合的な輸血学書を編集させていただくことになった.当初は自身の浅学と,直面する壁の巨大さに到底自信がなく辞退を重ねたが,やっと神輿をあげてどのようにしたらよいか考えてみた.私自身もできるだけ書き,さらに私の勤務している東京大学輸血部の現部員,さらに私がここで机を並べて学んだ旧部員の中の後輩の方々,また私が昭和48年東大輸血部に再度就職する前に13年間お世話になった群馬大学医学部で共に輸血学を学んだ同志の方々,そのほか篤志をもってわざわざ御参加いただいた2,3の先輩の方々に,それぞれ分担・執筆をお願いしたのが,昭和49年の春であったかと記憶している.

 これら分担執筆者は大部分がいわゆる新進気鋭のこれからの方々であり,しかもすべて分担領域を自分で実際研究された方々である.さらにその中には他のすべてを捨てて輸血学を終身の業としようとしている人も多数含まれている.またもし本書が将来改訂されることが許されるとすれば,このメンバーがそのまま使えるということも楽しみであると思っている.

 しかし輸血学はあまりに幅広く,しかも奥が深いので,編集者としてはかなりの努力を払ったつもりであるが,非力なためなお不充分なことを深く遺憾としている.内容にもし誤謬があれば編集者に御教示賜わることを切望してやまない.

 なお本書の分担執筆をされた中西敬先生が本書の完成を見ることなく,昭和52年9月9日逝去された.ここに謹んで哀悼の意を表する.

  昭和53年3月1日

    遠山 博


目次

第I章 輸血の歴史〈遠山博〉  1

 1.古典的な輸血(〜1900年)  2

 2.近代的な輸血(1901年〜)  6

 3.本邦における輸血  12

第II章 血液事業と血液製剤19

II−A.献血組織と血液事業〈田所憲治〉  20

 1.売買血から献血へ:1964年の閣議決定  20

 2.血液事業に関与する組織とその役割  20

   a.国の役割  21

   b.地方公共団体の役割  21

   c.赤十字血液センターの役割  21

   d.血漿分画製剤製造業者の役割  21

   e.医療機関の役割  21

 3.血液センターの組織とその運営  22

   a.血液センターの組織体制  22

   b.ブロック制と血液の需給調整  23

   c.血漿分画センターと血液管理センター  23

   d.核酸増幅検査センター  23

   e.全国方針の策定と財政調整  23

   f.血液事業の財政  23

 4.献血者数の推移  23

 5.献血者の季節変動と需給調整  25

 6.献血者登録制  26

 7.献血者の処遇と表彰制度  27

 8.輸血用血液供給量(使用量)の推移  27

 9.献血血液由来の血漿分画製剤の供給と使用  27

II−B.供血者の選択と検査法〈田所憲治〉  29

 1.供血者の安全と「採血基準」  29

   a.年齢,体重,献血間隔など  29

   b.事前検査  29

   c.問診  29

   d.成分採血での付加的問診と検査  29

   e.採血基準と献血可否の判断  30

 2.受血者の安全性確保のための選択  32

   a.血液センターにおける輸血用血液の安全対策  32

   b.献血して下さる皆様へ  32

   c.問診  32

   d.血液型と感染症の血清学的スクリーニング検査  32

   e.核酸増幅検査(NAT)  34

   f.問診歴,検査履歴の照合  38

   g.献血後情報への対応  38

II−C.供血者からの採血〈中島一格〉  40

 1.供血者の受付と選択  40

 2.採血法  40

   a.全血採血  41

   b.成分採血  44

   c.採血過誤防止  52

 3.採血副作用とトラブル  53

   a.主な採血副作用  53

   b.採血時のトラブル  55

 4.救急用医薬品と備品  56

   a.救急用医薬品  56

   b.救急備品  56

II−D.血液製剤の種類と製法・保存法〈佐竹正博〉  57

 1.輸血用血液製剤の種類  57

   a.人全血液(人全血液 CPD)  57

   b.人赤血球濃厚液(赤血球 M・A・P)  57

   c.洗浄人赤血球浮遊液(洗浄赤血球)  58

   d.白血球除去人赤血球浮遊液(白血球除去赤血球)  58

   e.解凍人赤血球濃厚液(解凍赤血球濃厚液)  58

   f.合成血  58

   g.新鮮凍結人血漿〔新鮮凍結血漿(FFP)〕  58

   h.人血小板濃厚液〔濃厚血小板(PC)〕  59

   i.HLA適合人血小板濃厚液(濃厚血小板HLA)  59

   j.放射線照射血液製剤  59

   k.クリオプレシピテート  60

 2.赤血球製剤  60

   a.赤血球保存法の評価について  60

   b.赤血球の代謝  61

   c.赤血球膜の変化  62

   d.保存赤血球の酸素運搬能  62

   e.抗凝固液  64

   f.赤血球保存のための添加液  65

   g.赤血球製剤保存の環境  65

 3.血小板製剤  66

   a.血小板採取法・保存法  67

   b.輸血された血小板の動態  67

   c.血小板の保存障害  68

   d.保存による血小板の変化とその検出法  69

   e.血小板保存液  71

   f.その他の問題  73

II−E.赤血球の凍結保存〈湯浅晋治,三浦健〉  77

 1.赤血球の凍結と溶血  77

 2.凍害防止剤  78

   a.細胞内性凍害防止剤(ECA)  78

   b.細胞外性凍害防止剤  79

 3.輸血用赤血球の凍結保存  79

   a.−80℃緩速凍結法  80

   b.glycerol低濃度添加,−196℃急速凍結法  86

 4.解凍赤血球の性状  88

   a.凍結,洗浄処理によってin vitroで失われる赤血球  88

   b.輸血後in vivoにおける凍結保存赤血球の寿命  88

   c.凍結赤血球の2,3−DPGおよびATP  88

   d.凍結赤血球のその他の性状  90

   e.凍結,洗浄,浮遊後にみられる赤血球の形態学的変化  91

 5.赤血球の長期保存  92

 6.赤血球の若返り法による凍結保存法  93

 7.解凍赤血球の検査および品質管理  94

 8.サンプル赤血球の凍結保存  95

   a.第1法(60% glycerol使用法)  95

   b.第2法(40% glycerol使用法)  96

II−F.血漿分画製剤〈伴野丞計〉  98

 1.血漿蛋白質の分画法  99

   a.溶解度法(分別沈殿法)による蛋白質の分画  99

   b.クロマトグラフィーによる蛋白質の分画  104

 2.アルブミン製剤  114

   a.製剤とその特徴  114

   b.アルブミン製剤の使用指針  115

   c.アルブミン製剤の投与量  119

   d.投与効果の評価  119

   e.不適切な使用  119

   f.使用上の注意  119

   g.アルブミン製剤の安全性  120

   h.アルブミン製剤の自給率  121

 3.人免疫グロブリン製剤  121

   a.製剤とその特徴  121

   b.人免疫グロブリン製剤の副作用  128

   c.免疫グロブリン製剤のウイルス安全性  128

 4.血液凝固因子製剤  129

   a.血液凝固第VIII因子製剤  131

   b.血液凝固第IX因子製剤  132

   c.血液凝固第XIII因子製剤  132

   d.乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤  132

   e.その他の血液凝固因子製剤  133

 5.その他の血漿分画製剤  133

   a.人ハプトグロビン製剤  133

   b.人 C1−インアクチベータ製剤  133

 6.ウイルス安全性の確保  133

   a.ウイルス不活化法  135

   b.ウイルス除去法  135

II−G.世界の血液事業〈中井一士〉  144

 1.世界の血液事業の南北問題  144

   a.世界保健機関(WHO)の活動  144

   b.売血による中国のHIV集団感染事件(「愛滋村」の悲劇)  145

 2.先進諸国における血液事業  145

   a.HIV事件を契機とする血液事業の改革  145

   b.米国の血液事業と制度の改革  147

   c.欧米での改革  148

   d.フランス  149

   e.ドイツ  151

   f.英国  152

   g.カナダ  153

   h.オーストラリア  154

第III章 血液型とその検査  159

III−A.赤血球型〈内川誠〉  160

III−A−1.ABO,H,Lewis,I血液型  164

 1.ABO血液型の分類  164

 2.ABH,Lewis,Ii抗原の構造と生合成  165

   a.ABH型物質の構造  165

   b.Lewis血液型物質の構造  169

   c.ABH,Lewis型物質の生合成  169

   d.Ii抗原の構造と生合成  170

 3.ABO血液型の遺伝  171

 4.H抗原と抗H  172

 5.分泌型と非分泌型  173

 6.A型およびB型の亜型  174

   a.A型の亜型  174

   b.その他のA亜型  175

   c.B型の亜型  176

   d.その他  177

 7.H抗原欠損型  178

   a.Bombay型,H欠損(非分泌)型  178

   b.para−Bombay型  179

 8.cisAB型(A2B3)  180

 9.ABO血液型の生後の変化  180

   a.成長に伴う変化  180

   b.疾患による変化  180

   c.獲得性B  180

 10.血液型キメラとモザイク  181

 11.Lewis血液型  181

 12.I血液型  183

 13.ABO血液型の遺伝子  184

   a.ABO遺伝子のクローニング  184

   b.ABO遺伝子構造  186

   c.ABO遺伝子発現の制御  186

   d.ABO対立遺伝子  186

 14.H,Secretor,Lewis遺伝子  191

   a.H(FUT1)遺伝子  193

   b.Se(FUT2)遺伝子  193

   c.Le(FUT3)遺伝子  194

 15.I遺伝子(IGnT,GCNT2)  195

III−A−2.P血液型  206

 1.P血液型と関連抗原  206

 2.P関連抗原の構造と生合成  207

 3.P1抗原と抗P1  208

 4.Pk(P−Pk+)およびp(P1−P−Pk−)型  208

III−A−3.Rh血液型  211

 1.Rh血液型の発見  211

 2.Rh血液型抗原の表記と遺伝様式についての歴史的経緯  213

 3.表現型と遺伝子型の決定  214

   a.抗Dだけを用いる場合  214

   b.各抗Rh血清を用いる場合  215

 4.Rh血液型の遺伝  215

 5.Rh血液型の臨床的意義  216

 6.Rh蛋白の構造と遺伝子  217

   a.Rh protein family  218

   b.Rh accessory proteins  223

 7.Rh血液型抗原と変異型  223

   a.D抗原  223

   b.C/c,E/e抗原と変異型  231

   c.その他のRh血液型抗原と変異型  232

   d.複合抗原  233

   e.CcEe抗原の低下と欠損に関与するハプロタイプ  234

   f.RhnullとRhmod  236

III−A−4.Duffy血液型  249

 1.Duffy血液型の発見  249

 2.FyaおよびFyb  249

 3.Fy4とFy5  250

 4.Duffy糖蛋白と遺伝子  250

 5.Fy(a−b−)  252

III−A−5.MNS血液型  257

 1.MNS血液型の発見  257

 2.グリコフォリンAとグリコフォリンB  257

   a.GPA  259

   b.GPA欠損型  261

   c.GPB  262

   d.GPB欠損型  263

   e.GPA/GPB欠損型(MkMk型)  263

 3.グリコフォリンA遺伝子(GYPA),グリコフォリンB遺伝子(GYPB)  263

 4.MNS変異型  264

   a.Miltenberger抗原群  265

   b.GP(A−B)変異型  267

   c.GP(B−A)変異型  269

   d.GP(B−A−B)変異型: GP.Mur(Mi.III),GP.Hop(Mi.IV),

     GP.Bun(Mi.VI),GP.HF(Mi.X)  270

   e.GP(A−B−A)変異型  271

   f.GP.EBH(ERIC+)とSta抗原  273

   g.HAG/ENEPとMAR/ENAV  273

   h.Or,Osa,Td,Vr,Mta,Ria,Cla,

     Nya,Mv,Far,sD,Mit  273

   i.M1,Can,Tm  275

III−A−6.Gerbich血液型  282

 1.Gerbich血液型の発見  282

 2.GPCとGPD  282

 3.GPC遺伝子(GYPC)  283

 4.Gerbich陰性型(Ge−型)  284

   a.Ge: −2, 3, 4(Yusタイプ)  284

   b.Ge: −2,−3, 4(Geタイプ)  284

   c.Ge: −2,−3,−4(Leach型)  285

 5.Lsa,Wb,Dha,Ana  286

III−A−7.Diego血液型  290

 1.Diego血液型の発見  290

 2.DiaとDib  290

 3.WraとWrb  292

 4.SwaとNFLD  292

 5.バンド3蛋白  293

III−A−8.Kell,Kx血液型  298

 1.Kell血液型の発見  298

 2.Kell血液型抗原  299

 3.Kell抗原の抑制  300

 4.Kell糖蛋白と遺伝子  301

 5.XK血液型  302

 6.XK遺伝子  304

III−A−9.Kidd血液型  309

 1.Kidd血液型の発見  309

 2.Kidd血液型抗原と抗体  309

 3.Kidd糖蛋白と遺伝子  310

III−A−10.Lutheran血液型  314

 1.Lutheran血液型の発見  314

 2.LuaとLub  314

 3.Lu(a−b−)  315

 4.Lutheran遺伝子(LU)とLutheran糖蛋白の機能  315

III−A−11.Colton血液型(附 Gil血液型)  320

III−A−12.Dombrock血液型  323

III−A−13.Cromer血液型  327

III−A−14.Xg血液型  332

 1.Xg血液型の発見  332

 2.Xga抗原と抗体  332

 3.XgaとCD99(MIC2)  333

III−A−15.Knops血液型  335

III−A−16.Chido/Rodgers血液型  339

III−A−17.LW血液型  343

III−A−18.Scianna血液型  348

III−A−19.Yt(Cartwright)血液型  350

III−A−20.Indian血液型とAnWj抗原  352

 1.Indian血液型  352

 2.AnWj抗原  353

III−A−21.OK,RAPH,JMH血液型およびEr抗原  356

 1.OK血液型  356

 2.RAPH血液型  357

 3.JMH血液型  358

 4.Er抗原  358

III−A−22.Jra,Lan,Vel,Ata,Emm,PEL,ABTI,MAM,Sda,

  Duclos(高頻度抗原: ISBT 901シリーズ)  362

 1.Jra抗原(901.005)  362

 2.Lan抗原(901.002)  363

 3.Vel抗原(901.001)  363

 4.Ata抗原(901.003)  364

 5.Emm抗原(901.008)  364

 6.PEL抗原(901.014)  364

 7.ABTI抗原(901.015)  365

 8.MAM抗原(901.016)  365

 9.Sda(Sid)抗原(901.011)  365

 10.Duclos抗原(901.013)  367

III−A−23.低頻度抗原(ISBT 700シリーズ)  372

 1.Kg抗原(700.045)  373

 2.SHIN抗原  373

 3.Bg抗原  373

III−B.赤血球型に関する検査〈内川誠〉  376

III−B−1.血液型抗原と抗体  377

 1.赤血球抗原  377

   a.赤血球膜  377

   b.抗原決定基  378

   c.赤血球前駆細胞の血液型抗原  379

 2.血液型抗体の性状  380

   a.免疫グロブリン  380

   b.新生児の免疫グロブリン産生  383

   c.自然抗体  383

   d.免疫抗体  384

   e.モノクローナル抗体  385

 3.血液型抗原と抗体の反応  389

   a.抗原抗体反応  389

   b.赤血球凝集反応  391

III−B−2.血液型抗原と抗体の検出(血清学的検査)  399

 1.検査感度の妥当性および対照  399

 2.食塩液法(直接凝集法)  400

 3.凝集反応の感度を上げる方法  401

   a.アルブミン(ウシアルブミン)  401

   b.低イオン強度溶液(LISS)  401

   c.ポリブレン  402

   d.ポリエチレングリコール(PEG)  402

   e.酵素(蛋白分解酵素)  402

 4.抗グロブリン試験(Coombs試験)  404

   a.抗グロブリン法の原理  404

   b.間接抗グロブリン試験での反応時間  407

 5.ゲル法  408

 6.カラム凝集法  408

 7.固相法  409

 8.自動血液型判定装置  409

   a.Groupamatic  410

   b.PKシリーズ  410

   c.TORAYシリーズ  411

III−B−3.ABO/Rh血液型検査,抗体スクリーニング,

  不規則抗体の同定,交差試験  415

 1.ABO/Rh血液型検査  415

 2.抗体スクリーニング(不規則抗体検査)  416

   a.冷式抗体  416

   b.抗体スクリーニング検査の方法  417

 3.不規則抗体の同定  417

 4.交差試験  420

   a.type and screen  421

   b.簡略化した交差試験  421

   c.不規則抗体陽性の患者および新生児での交差試験  422

III−B−4.直接抗グロブリン試験  424

 1.直接抗グロブリン試験陽性  424

 2.自己免疫性溶血性貧血(温式自己抗体)  425

III−C.HLA抗原と検査法,臨床応用〈前田平生,平田蘭子〉  428

 1.HLA研究の歴史  428

   a.白血球アロ抗原の発見  428

   b.HLAクラスI抗原系の確立  429

   c.国際組織適合性ワークショップ  429

   d.HLAクラスI抗原の発見と血清学的検出  430

   e.クラスII抗原分子の同定と遺伝子の検出  431

   f.DNAタイピング  432

 2.HLA抗原の遺伝子と構造  432

   a.HLA遺伝子領域  433

   b.クラスI・II分子  433

 3.HLA抗原の機能  434

   a.T細胞レセプターの選択  435

   b.抗原の提示  435

   c.T細胞免疫応答  435

 4.HLA抗原の分類と頻度  436

   a.HLA抗原,対立遺伝子の表記法  436

   b.HLA抗原の分類と日本人のHLA  437

 5.HLA検査法  440

   a.血清学的検査法  440

   b.混合リンパ球反応  444

   c.HLAアリル(対立遺伝子)タイピング  445

 6.HLAと臨床応用  449

   a.輸血  449

   b.移植  450

   c.疾患との相関  455

   d.癌免疫への応用  458

III−D.血小板型(HPA)と検査法―血小板輸血,副作用(NAITを含む)―〈柴田洋一〉  462

 1.血小板型  462

   a.赤血球との共通抗原  462

   b.HLA型  462

   c.血小板(特異)型human platelet antigens(HPA)  463

 2.血小板(特異)型とその臨床的意義  466

   a.新生児血小板減少症(NAIT)  466

   b.輸血後紫斑病(PTP)  469

   c.血小板型と移植  470

   d.血小板型と血栓症  470

 3.血小板型の検査  470

   a.血清学的検査法  470

   b.血小板型のDNA解析  482

 4.血小板輸血と抗血小板同種抗体

   (抗HLA抗体および抗HPA抗体)  486

   a.血小板輸血の効果と血小板回収率  486

   b.血小板輸血不応の原因  486

   c.抗血小板同種抗体の産生メカニズムと抗体産生防止法  489

   d.血小板輸血患者での同種抗体の検出率  490

   e.血小板クロスマッチ検査  490

III−E.血清型と輸血副作用〈田所憲治〉  496

 1.ハプトグロビン(HP)  496

   a.ハプトグロビンの構造と生理的役割  496

   b.HPの多型性  497

   c.HP多型と輸血副作用  498

 2.免疫グロブリン(Ig)型  498

   a.免疫グロブリンの構造  498

   b.免疫グロブリンの抗原決定基  499

   c.Km型  500

   d.Am型とIgAの欠損  500

   e.Gm型  500

 3.トランスフェリン(TF)型  501

 4.α1−アンチトリプシン(PI)型  502

 5.補体系蛋白  502

   a.補体系の蛋白  502

   b.C3型  503

   c.C4型  503

   d.その他の補体系蛋白の多型  504

   e.その他の補体系蛋白の遺伝的欠損  504

 6.凝固・線溶系蛋白の多型  504

   a.凝固・線溶系蛋白  504

   b.XIII因子型  504

   c.プラスミノゲン(PLG)型  505

 7.リポ蛋白型  505

   a.リポ蛋白の分類  505

   b.AG型  505

   c.LP型  505

   d.APOE型  505

 8.その他の血清蛋白型  506

   a.α2 HS糖蛋白(HSGA)型  506

   b.α1−酸性糖蛋白型  506

   c.α2−マクログロブリン(Xm)型  506

   d.セルロプラスミン(CP)型  506

   e.アルブミン(ALB)型  506

第IV章 新生児溶血性疾患と母児免疫〈大戸斉〉  511

 1.母児間免疫における母児間輸血現象  512

   a.胎児由来細胞の母体血中への流入(TPH)  512

   b.大量経胎盤出血が母と児に与える影響  513

 2.母体の免疫反応  513

   a.赤血球抗原の免疫原性  513

   b.RhD陰性者における免疫実験  513

   c.初回妊娠分娩による抗体産生  513

   d.第2回妊娠における抗体産生  514

   e.流産による抗体産生  514

   f.妊娠回数と抗体産生率  514

   g.RhD以外の抗体の産生  514

   h.IgGのサブクラスと生理的活性  515

 3.母体の免疫感作に影響する因子  516

   a.経胎盤出血(TPH)の量  516

   b.母児間ABO不適合によるRhD感作への影響  516

   c.胎児の性とRh型の影響  516

   d.祖母のRh型(non−inherited maternal antigen,NIMA)の影響  516

   e.輸血の影響  516

 4.母親から胎児への抗体移行  517

   a.母親からの経胎盤的能動輸送  517

   b.抗HLA−クラスII抗体による溶血の軽減  517

 5.新生児溶血性疾患の病態  517

   a.機序  517

   b.ビリルビンの合成と代謝  518

   c.血液型不適合妊娠の管理  519

   d.羊水のΔOD450による胎児重症度判定  521

   e.高ビリルビン血症の治療  522

   f.抗D免疫グロブリン投与による免疫感作の予防  523

 6.ABO血液型不適合新生児溶血性疾患(ABO−HDN)  524

   a.ABO−HDNの病態  524

   b.ABO−HDNにおける溶血の機序と検査所見  524

 7.RhとABO以外の血液型不適合妊娠  525

 8.妊娠による白血球抗体の産生  525

   a.妊娠によるHLA抗体の産生  525

第V章 輸血副作用・合併症  529

V−A.輸血の副作用・合併症〈前田平生,遠山博〉  530

V−A−1.溶血性輸血副作用(免疫学的機序による副作用)  531

 1.溶血性反応の定義と種類  531

 2.溶血性反応の病態生理と生体の防御機転  531

   a.ヘモグロビン血症  531

   b.ヘモグロビン尿と腎障害  531

   c.ヘモジデリン尿  532

   d.血漿諸成分の遊離ヘモグロビンの取り片付け  532

 3.赤血球凝集反応の機構  533

 4.溶血反応に補体の及ぼす影響  534

   a.補体系の活性  534

   b.血液型抗体と補体  536

 5.不適合輸血(ABO式その他)の原因と頻度  537

   a.技術的な誤り  537

   b.事務的な誤り  538

   c.種類と頻度  539

 6.不適合輸血の症状と経過  542

   a.急性溶血反応によるもの  542

   b.遅発性溶血反応によるもの  543

 7.不適合輸血の発症機序  545

   a.サイトカインの役割  545

   b.DIC(播種性血管内凝固症)  545

   c.急性腎不全  546

   d.呼吸不全  547

 8.不適合輸血に対する処置  548

   a.直後の処置  548

   b.乏尿期の処置  548

   c.利尿期の処置  550

 9.ABO式血液型不適合輸血  550

   a.ABO式不適合輸血の予後  550

   b.O型血輸血による副作用  551

   c.ABO式亜型(A1,A2)による輸血副作用  553

 10.ABO式血液型以外の血液型による不適合輸血  553

  10−1.不規則抗体スクリーニング  553

  10−2.輸血副作用に関与する不規則抗体  557

   a.Lewis式血液型による副作用  557

   b.P式血液型による副作用  562

   c.Rh式血液型による副作用  564

   d.Lutheran式血液型による副作用  567

   e.Kell式血液型による副作用  567

   f.Duffy式血液型による副作用  569

   g.Kidd式血液型による副作用  570

   h.Diego式血液型による副作用  571

   i.Xg式血液型による副作用  572

   j.U式血液型による副作用  573

   k.Miltenberger式血液型による副作用  573

   l.Holley式血液型による副作用  574

 11.自己抗体(自己凝集素・自己溶血素)をもっている患者に対する輸血  574

   a.正常に存在する自己抗体,障害を与えない自己抗体  574

   b.病的な自己抗体,障害を与える自己抗体  575

 12.免疫血液学的検査で問題のある患者に対する輸血  576

   a.高頻度抗原に対する抗体  576

   b.低頻度抗原に対する抗体  578

   c.不規則自己抗体を伴う不規則同種抗体を有する症例  579

   d.多種抗体保有例  579

   e.微弱な抗体  580

   f.その他の諸問題  581

 13.その他免疫学的機序によらない溶血反応  582

V−A−2.非溶血性輸血副作用(免疫学的機序による副作用)  588

 1.非溶血性発熱反応  588

   a.抗白血球抗体によるもの  589

   b.輸血血液中サイトカインによる発熱反応  590

   c.細菌汚染血による発熱反応  591

 2.血小板輸血不応状態  591

   a.血小板型とABO式の関係  591

   b.血小板型とRh式の関係  591

   c.血小板型とHLA型との関係  592

   d.輸血後紫斑病について  592

 3.輸血関連急性肺傷害(TRALI)  593

   a.抗白血球抗体による肺浸潤  593

   b.発症機序  594

   c.予防方法  595

 4.アレルギー・アナフィラキシー反応  595

   a.アレルギーの原因  596

   b.症状  597

   c.頻度  598

   d.血漿蛋白欠損とアナフィラキシー反応  598

V−A−3.その他の輸血副作用(免疫学的機序によらない副作用)  608

 1.細菌汚染血による反応  608

   a.ガラス壜採血時代の汚染血事故  608

   b.赤血球製剤の細菌汚染  612

   c.血小板成分の細菌汚染  614

   d.その他製剤の汚染  617

 2.有害物質の輸注  617

   a.微細な物体  617

   b.血液成分屑  617

   c.プラスチックの有害物質  618

 3.輸血の量や速度の過大に関係するもの  619

   a.クエン酸ナトリウム中毒  619

   b.循環負荷過大  619

   c.大量輸血による出血傾向  619

   d.塞栓  620

 4.輸血後ヘモジデローシス  620

V−B.白血球除去フィルターによる輸血副作用の予防〈比留間潔〉  623

 1.輸血用血液に含まれる白血球数  623

 2.白血球に起因する有害事象  624

   a.保存障害  624

   b.輸血副作用  624

   c.白血球除去の効果  625

 3.白血球除去フィルターによる有害事象  625

   a.red eye syndrome(赤目症候群)  625

   b.背部痛  625

   c.血圧低下反応  625

 4.フィルターによる白血球除去  626

   a.白血球除去フィルターの開発  626

   b.白血球除去フィルターの機序と性能  626

   c.白血球除去フィルターの使い方  628

   d.適応症例  628

 5.保存前白血球除去  628

   a.保存前白血球除去の概念  628

   b.保存前白血球除去の意義  630

第VI章 輸血後GVHD〈大戸斉〉  635

 1.PT−GVHDの臨床像  636

   a.成人におけるPT−GVHDの臨床像と病理所見  636

   b.新生児・未熟児の臨床像と病理所見  637

 2.発症機序  638

   a.HLAの一方向適合  638

   b.ドナー免疫遂行細胞の関与  639

 3.PT−GVHD発症要因と発症抵抗性にかかわる要因  639

   a.血縁者からの輸血  640

   b.新鮮血液  640

   c.受血者の要因  640

 4.診断  641

   a.臨床像から  641

   b.病理組織から  641

   c.キメラの証明  641

   d.患者とドナーのHLAタイピング  642

 5.発症予防  642

 6.治療  643

 7.放射線照射が血液成分に与える影響  643

   a.リンパ球への影響  643

   b.赤血球への影響  643

   c.血小板への影響  644

第VII章 輸血感染症  647

VII−A.輸血後肝炎  648

VII−A−1.輸血後肝炎(そのI)

   〈大戸斉,遠山博〉  648

 1.輸血後肝炎解明の歴史  648

  1−1.HB抗原の発見以前  648

   a.供血者から肝炎ウイルス感染者を除こうとした試み  649

   b.血液製剤の肝炎ウイルスを不活性化しようとした試み  649

   c.輸血の量・回数を節減する方法  650

  1−2.HB抗原の発見以後  651

   a.B型肝炎ウイルス(HBV)  651

   b.A型肝炎ウイルス(HAV)  653

   c.C型肝炎ウイルス(HCV)  654

 2.核酸増幅検査(NAT)導入前までの輸血後肝炎の対策  655

   a.HBs抗原・抗体の検出について  655

   b.輸血後肝炎の頻度について  656

   c.輸血後肝炎の転帰  660

   d.輸血後肝炎防止の試み  660

   e.針事故による肝炎の感染  661

VII−A−2.輸血後肝炎(そのII)〈田所憲治〉  666

   a.献血制度への移行とHBs抗原スクリーニング検査の導入  666

   b.輸血後B型劇症肝炎とHBc抗体検査の導入  666

   c.HCV抗体検査の開始 1989年11月と改正1992年  667

   d.HBc抗体検査導入後に報告された輸血後B型肝炎とHBs抗体陽性判定力価,

    HBc抗体陽性判定力価の変更  667

   e.血液センター医薬情報部の確立と副作用・感染症報告制度の開始  667

   f.献血後情報による遡及調査の開始  668

   g.NAT検査導入前のウインドウ期献血による感染のリスク  669

   h.NAT検査の導入  669

VII−B.輸血による肝炎以外のウイルス感染症〈大戸斉〉  671

 1.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)  671

   a.HIVの感染経路  671

   b.輸血による感染と感染後の経過  671

   c.献血者におけるHIV陽性率  673

   d.ウイルスの構造と複製  674

   e.HIV検査  675

 2.HTLV−I  675

   a.ウイルスの特徴と病因性  675

   b.HTLV−Iの感染  676

   c.輸血による感染  676

 3.ヒトパルボウイルスB19  676

   a.ウイルスの特徴と病因性  676

   b.輸血による感染  676

 4.サイトメガロウイルス  677

   a.病原体  677

   b.臨床症状と感染防御システム  677

   c.輸血によるCMV感染  677

VII−C.輸血によるその他の感染症〈大戸斉,遠山博〉  681

 1.梅毒  681

   a.輸血梅毒の歴史と最近の動向  681

   b.感染成立に影響する因子  681

   c.ドナースクリーニング検査としての梅毒検査  682

 2.Lyme病  682

 3.マラリア  682

   a.マラリア感染の機構と症状  682

   b.輸血マラリアの発生状況  683

   c.輸血マラリアの潜伏期  683

   d.輸血マラリアの特徴  683

   e.輸血マラリアの治療  684

   f.輸血マラリアの予防対策  684

 4.バベシア症  684

   a.臨床症状  685

   b.輸血バベシア症  685

   c.診断と治療  685

 5.トキソプラズマ症  685

   a.病因と症状  685

   b.輸血によるトキソプラズマ症  685

 6.Trypanosomaによるシャガス病  686

   a.病因と症状  686

   b.輸血による感染  686

   c.アフリカトリパノソーマ感染症  686

 7.フィラリア症  686

   a.病因と症状  686

   b.輸血によるfilariasis  686

 8.リケッチア症  687

 9.Leishmaniaによるkala−azar  687

 10.プリオン病〈倉田義之〉  688

   a.人および動物のプリオン病  688

   b.病因としてのプリオン蛋白  690

   c.プリオン蛋白の分布  690

   d.プリオン病の感染性  691

   e.輸血によってプリオン病は感染するか  691

   f.現在実施されている感染防止対策  692

VII−D.輸血感染症に関する検査法〈吉原なみ子〉  694

 1.主なウイルス肝炎  694

 2.HBVの構造  694

 3.B型肝炎の臨床経過  696

   a.急性感染  696

   b.持続性感染  697

 4.HBV関連マーカー  697

 5.HBs抗原検査  697

   a.検査方法の種類  697

   b.HBs抗原キットの種類  697

   c.HBs抗原キットの使用状況  699

   d.HBs抗原検査法の原理  699

 6.HBs抗原以外のHBV関連マーカーの意義と主な検査法  700

   a.HBs抗体  700

   b.HBc抗体  701

   c.HBe抗原/HBe抗体  701

   d.HBV−DNA  701

 7.日本赤十字血液センターの検査  701

 8.検査室における肝炎ウイルス消毒法および感染予防対策  702

   a.医療従事者の感染予防  703

   b.医療行為での感染予防  703

VII−E.病原体の不活化・除去〈大戸斉〉  706

 1.新鮮凍結血漿の不活化  706

 2.血小板製剤の不活化  707

 3.赤血球製剤の不活化  707

 4.安全性試験  708

第VIII章 輸血の実際  709

VIII−A.輸血とインフォームド・コンセント〈田崎哲典〉  710

 1.インフォームド・コンセントの概念と歴史  710

   a.インフォームド・コンセントの歴史(世界)  710

   b.インフォームド・コンセントの歴史(日本)  710

   c.医療におけるインフォームド・コンセント  712

 2.輸血療法とインフォームド・コンセント  713

   a.日本輸血学会インフォームド・コンセント小委員会の報告書要旨  713

   b.インフォームド・コンセント実施上の要点  714

 3.宗教と輸血  715

   a.エホバの証人の輸血拒否の根拠と受け入れ可能な成分について  715

   b.エホバの証人への輸血をめぐっての裁判について  716

   c.エホバの証人への輸血を考える  717

VIII−B.輸血の生理学と理論〈坂本久浩〉  720

 1.血液の生理学的な機能  720

 2.赤血球ヘモグロビンの酸素供給能  720

   a.赤血球ヘモグロビンの酸素運搬能と酸素消費  720

   b.酸素平衡曲線(酸素解離曲線)  721

   c.酸素親和性と酸素飽和度  721

   d.2,3−diphosphoglycerate(2,3−DPG)  721

   e.Bohr効果  721

 3.体液成分と電解質バランス  721

   a.全体液量  721

   b.細胞内液量  722

   c.細胞外液量  722

   d.電解質バランス  722

 4.循環血液量(TBV)の算定とその測定法  723

   a.循環血液量の算定法と正常値  723

   b.循環血液量の測定法  723

 5.酸・塩基平衡  724

   a.アシドーシス  724

   b.アルカローシス  724

 6.血漿膠質浸透圧  724

 7.アルブミンの生理的役割  725

   a.血漿膠質浸透圧の維持  725

   b.アルブミンの担体としての機能  725

   c.蛋白補給源としてのアルブミンの意義  725

 8.出血に対する生理学的反応と輸血  725

   a.大量出血による反応  726

   b.血液量の自然回復  726

   c.急性出血における循環系の変化  726

   d.出血量の算定  726

VIII−C.輸血の方法・手技・器具〈坂本久浩〉  728

 1.輸血経路と血管穿刺  728

   a.静脈による輸血経路  728

   b.その他の輸血経路  729

   c.子宮内胎児輸血  729

 2.輸血器具  730

   a.血液バッグ  730

   b.輸血セットと輸血フィルター  730

   c.加温器  731

 3.輸血の実施  732

   a.輸血実施の手順  732

   b.輸血の検査と血液の出庫手順  734

   c.緊急時の輸血  734

VIII−D.血液製剤の適正使用〈坂本久浩〉  735

 1.「血液製剤の使用指針」及び「輸血療法の実施に関する指針」  736

   a.「血液製剤の使用指針」  737

 2.血液製剤使用適正化の具体的な対策  750

   a.血液製剤の不適正使用の原因究明と血液成分別使用量の調査  750

   b.血液製剤濫用の構図と輸血療法適正化のための対策  751

   c.地域内病院群における血液製剤の使用適正化の取り組み  753

VIII−E.外科手術と輸血〈坂本久浩〉  756

 1.外科領域の輸血の適応  756

 2.術前検査結果の評価と対策  756

   a.術前ヘモグロビンの目標値の設定  756

   b.術前の貧血に対する輸血  756

   c.止血凝固能に対する評価と対策  757

   d.低蛋白・低アルブミン血症とその対策  757

 3.手術のための血液の準備  758

 4.出血に対する輸血開始の判断  759

 5.外科領域における成分輸血療法  760

   a.赤血球濃厚液  760

   b.血小板濃厚液  760

   c.新鮮凍結血漿  760

VIII−F.溶血性疾患と輸血〈高松純樹〉  761

 1.赤血球の異常による溶血性貧血  762

   a.先天性溶血性疾患  762

   b.後天性溶血性疾患  762

 2.外的要因による溶血性貧血  763

   a.免疫学的機序による溶血性貧血  763

   b.非免疫学的機序による溶血性貧血  767

VIII−G.血液凝固疾患と輸血〈高松純樹〉  772

 1.血液凝固機構  772

   a.血小板血栓の形成  772

   b.血小板凝集反応  773

   c.血小板粘着・凝集反応の制御  774

   d.血液凝固機序  774

   e.血液凝固機序の制御  775

   f.線溶系機序とその制御  776

 2.血液凝固障害と輸血療法  777

   a.凝固異常と先天性出血性素因  777

   b.凝固異常と血栓性素因  785

VIII−H.産科・小児科の輸血〈大戸斉〉  792

VIII−H−1.小児の輸血  792

 1.新生児の生物学的特徴と子宮外環境への適応  792

   a.新生児の定義  792

   b.新生児の子宮外環境への適応  792

 2.新生児への輸血  794

   a.交換輸血  794

   b.赤血球輸血  794

   c.エリスロポエチン(Epo)による貧血の治療  796

   d.曝露ドナー数の削減  796

   e.血小板輸血  796

   f.顆粒球輸血  796

   g.新鮮凍結血漿(FFP)  797

 3.小児の輸血  798

   a.赤血球輸血  798

   b.血小板輸血  798

   c.新鮮凍結血漿  798

VIII−H−2.産科の輸血  800

 1.妊娠に伴う生理的変化  800

   a.循環系  800

   b.血液系  800

 2.産科的異常出血とショック  801

   a.分娩時の大量出血  801

   b.産科の血管内凝固症候群(DIC)  801

 3.妊娠中の血小板減少症  803

   a.妊婦の血小板数と止血  803

   b.妊娠性血小板減少症  803

   c.自己免疫性血小板減少症(ITP)  803

   d.抗リン脂質抗体関連血小板減少症  804

   e.新生児血小板減少症  804

   f.妊娠中毒症  804

   g.血栓性血小板減少症(TTP)と溶血性尿毒症(HUS)  805

 4.産科領域の自己血輸血  805

VIII−I.緊急輸血,大量輸血(熱傷を含む)〈稲葉頌一〉  807

 1.緊急輸血  807

   a.緊急輸血が必要な状況  807

   b.出血による生体変化  807

   c.急性出血に対する治療手順  808

   d.正量性血液希釈状態の生理変化  808

   e.緊急時の輸血開始基準  808

   f.緊急出血患者の治療手順  809

   g.緊急時の輸血検査  809

   h.緊急時の輸血検査の注意点  810

   i.緊急時の輸血インフォームド・コンセント  810

 2.大量輸血  810

   a.大量輸血に使用される輸液剤と血液成分  810

   b.リザーバーとポンプ送血  812

   c.術野回収  812

   d.高速輸血の副作用  813

   e.大量出血管理に必要なモニターと検査  814

 3.熱傷  815

   a.受傷初期(受傷後3日以内)  815

   b.受傷後期(3日以降)  816

VIII−J.輸血過誤と防止対策〈高橋孝喜〉  819

 1.輸血過誤防止の要点  819

 2.輸血の各ステップと過誤の危険性  821

 3.輸血過誤の状況・原因  822

 4.輸血過誤対策の原則  823

 5.医療過誤防止のための処置実施時のバーコード照合確認  826

第IX章 自己血輸血と人工血液  829

IX−A.自己血輸血〈高橋孝喜〉  830

 1.自己血輸血の目的  830

 2.自己血輸血の方法と特徴  831

 3.インフォームド・コンセント  834

 4.自己血輸血の適応の考え方  834

 5.自己血輸血の適応基準  836

 6.自己血採血前の検査  839

   a.血球計算(血算)  839

   b.血液型と不規則抗体  839

   c.感染症検査  839

 7.自己血採血・保存計画  839

 8.自己血採血時の留意点  840

 9.術前貯血式自己血輸血の血液保存法  841

 10.戻し輸血法  843

 11.自己血輸血の実施手順および採血の実際  844

 12.自己フィブリン糊の利用  846

 13.成分自己血採血  847

 14.自己血輸血の免疫抑制的効果と白血球除去  847

IX−B.人工血液〈池淵研二〉  852

 1.人工酸素運搬体の開発初期  853

 2.第一世代のパーフルオロカーボンの登場と臨床試験  853

   a.第一世代パーフルオロカーボン(PFC)  853

   b.PFC輸注症例の実際  854

 3.ヘモグロビンをベースにした代替物と課題  854

   a.分子の安定化  855

   b.ヘモグロビンのメト化  855

   c.酸素親和性,粘度  855

   d.ヘモグロビン分子サイズ  856

 4.修飾ヘモグロビン開発  856

 5.リポソーム内包型ヘモグロビン開発  857

 6.リポソーム型ヘモグロビンの課題  858

 7.パーフルオロカーボン(第二世代)  858

 8.人工赤血球なのか酸素運搬蘇生液なのか  859

 9.血液代替物が輸血代替物以外に想定される利用方法  859

 10.血小板製剤の課題  860

 11.血小板代替物  861

   a.パラフォルムアルデヒド固定血小板  861

   b.血小板マイクロパーティクル  861

   c.血小板糖蛋白固相化リポソーム  861

   d.フィブリノゲン固相化赤血球  861

   e.RGD配列ペプチド結合赤血球  861

   f.フィブリノゲン固相化アルブミンマイクロスフェアー  862

   g.血小板の保存法その他のモデル  862

 12.血液製剤の安全性に関する最近の状況  862

第X章 血液成分分離装置と血漿交換  867

X−A.血液成分分離装置による成分輸血〈稲葉頌一〉  868

 1.間歇型血液成分分離装置  869

   a.機種  869

   b.間歇型成分分離装置の構造と原理  869

   c.白血球混入制御法  870

 2.連続式血液成分分離装置  871

   a.遠心法の機種  871

   b.連続方式の構造と原理  874

 3.採取の実際と注意点  876

   a.成分採血に伴う副作用  876

   b.採血時の注意点  877

   c.血小板採取法  878

   d.リンパ球採取法  878

   e.顆粒球採取法  878

   f.供血者の選択基準  878

   g.アフェレーシス担当部門の整備  879

〈附〉同種末梢血幹細胞移植のための健常人

  ドナーからの末梢血幹細胞の動員・採取に関するガイドライン  880

X−B.血漿交換療法〈稲葉頌一〉  888

 1.血漿交換療法の歴史  888

 2.血漿交換の原理  888

 3.血漿交換の除去対象物質  890

 4.血漿交換の保険適応  890

 5.代表的適応疾患  890

   a.神経疾患  890

   b.異常蛋白血症,高脂血症  891

   c.腎疾患  891

   d.薬物・毒物中毒(バルビタール,有機リン,キノコ毒など)  892

   e.肝不全  892

   f.自己免疫疾患  892

   g.同種免疫反応  892

   h.皮膚疾患: 天疱瘡,類天疱瘡  893

 6.血漿交換の方法  893

   a.単純血漿交換  893

   b.二重膜濾過法  893

   c.血漿吸着法  895

 7.血漿交換の置換液  897

 8.血流路  897

 9.副作用  898

 10.実施記録  898

 11.血漿交換のコスト  898

第XI章 造血幹細胞移植  905

XI−A.骨髄移植〈比留間潔〉  906

 1.BMTの歴史  906

 2.同種BMT  907

   a.BMT療法の原理および概略  907

   b.適応疾患  908

   c.方法  909

 3.自己BMT  916

XI−B.末梢血幹細胞移植〈比留間潔〉  919

 1.末梢血幹細胞移植療法の原理  919

   a.造血幹細胞動員  919

   b.PBSC採取  920

 2.PBSCTとBMTの比較  925

 3.同種PBSCTの骨髄非破壊的幹細胞移植への応用  927

 4.PBSCTの展望  928

XI−C.臍帯血移植〈比留間潔〉  931

 1.臍帯血移植の歴史  931

 2.臍帯血移植療法の原理  932

   a.臍帯血造血幹細胞の特徴  932

   b.臍帯血免疫担当細胞の特徴  933

   c.臍帯血移植の方法  933

   d.臍帯血の凍結保存と使用方法  933

 3.治療成績の現状と今後の展望  934

XI−D.骨髄バンク,臍帯血バンク〈奥山美樹〉  937

 1.骨髄バンク  937

   a.概要  937

   b.設立の経緯  937

   c.組織  937

   d.患者登録  937

   e.ドナー登録  939

   f.移植実績  940

   g.問題点と今後の課題  940

 2.臍帯血バンク  940

   a.概要  940

   b.設立の経緯  941

   c.組織  941

   d.臍帯血の提供  941

   e.採取から保存の実際  941

   f.患者登録と臍帯血の供給  941

   g.保存状況と移植実績  941

   h.問題点と今後の課題  945

第XII章 細胞治療,免疫療法  947

XII−A.細胞治療〈大久保光夫〉  948

 1.養子免疫療法  948

   a.養子免疫療法とは  948

   b.LAK(lymphokine activated killer)細胞  948

   c.養子免疫療法の臨床効果  949

   d.養子免疫療法の今後  950

 2.ドナーリンパ球輸注療法(DLT療法)  950

   a.DLT療法の方法・対象  951

   b.DLT療法の臨床効果  951

   c.DLTによるGVHDとGVL効果  951

   d.DLT移入細胞数  953

 3.骨髄非破壊幹細胞移植(ミニ移植)を応用した固形癌の治療  953

 4.樹状細胞療法  954

   a.樹状細胞/癌抗原ペプチド(DC/ペプチド)療法  954

   b.腫瘍細胞融合樹状細胞療法  955

XII−B.輸血による免疫修飾〈前田平生〉  958

 1.同種免疫とは  958

 2.腎移植  959

   ■免疫抑制機序  960

 3.習慣性流産  962

   ■NK活性,リンパ球サブセット,サイトカインの変動  963

 4.癌再発率と生存率  964

   a.これまでの研究(後方視的研究)  964

   b.前方視的対照研究  965

 5.術後創感染症  966

   ■免疫抑制を起こす血液成分  967

〈附〉「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」について〈坂本久浩〉    971

索引  975