2.アーシングを行う上での注意!CAUTION

(更新日 2002/09/29)


1.電流容量の大きい電源用ケーブルを使用すること
単に電気抵抗を下げるだけなら細いケーブルでもよさそうですが、アースラインには大電流が流れる可能性があります。
アーシングにはアースラインの電流容量の拡大の意味もあります。
万一細いケーブルを使用した場合、迂回してきた電流が集中すると、電子の過密集中により電気抵抗(集中抵抗)が発生、発熱し、更に抵抗が上がり最後には焼き切れます。
効果を上げるためだけでなく、安全の意味でも必ずこれは守ってください。
また、折角良いケーブルを使っていても、適当な接続をしては同様に接続部分が抵抗を持つためダメです。
しっかりとしたターミナルの圧着(カシメ)、ネジ止め等を心がけ、導通性と同時に強度のある部品を選択してください。
今のところメインに使われるケーブルは14sq、分岐前の部分は22sq以上が目安の様です。

電流容量の計算方法についてはかなり複雑で素人には困難です。
モガミ電線さまの電流容量コンテンツの場所を紹介しておきます。 http://www.mogami-wire.co.jp/paper/ampacity.html
従って、一般的には「アーシング用」として販売されているケーブルが増えていますので、それを使うのが無難と考えます。


2.ケーブルを必要以上に遊ばせないこと
振動によりケーブルの被服がどこかに擦れて破れた場合は、どこにショートするかわからず、大変危険です。
また、機械的にも、垂れたケーブルがベルト等に撒き込むとやはり危険ですので、しっかりと固定してください。
特にベルトが回転している部分、そして、見落としがちなスロットルレバーおよびスロットルワイヤーには
絶対触れたり垂れたりしない様充分注意して施工して下さい。
これらにケーブルが引っかかったり巻き込むと重大事故になる可能性があります。

また、逆に振動する部分と動かない部分、つまりボディとエンジンをを渡るような個所少し一定のたわみを
持たせてその両端をしっかり固定し、ケーブルが引っ張られないようにして下さい

エンジンルームでスロットルレバーを操作できるクルマの場合は、アーシングの施工完了後にエンジンを吹かして
エンジンの揺れによってケーブルが無理に引っ張られている部分がないことを確認すると、より安全です。

その他、なにか動かないものと接触する部分は、擦り切れないようにケーブルにコルゲートカバーを取りつけたり、
タイラップで共締めする等、何らかの対策を施してください。


3.確実安全な作業
アーシングの端子は、効果を狙う目的上、重要保安部品と共締めする部分が少なからずあります。
ボルト等は的確なトルクで絞めてください。
また、作業時は必ず事前にバッテリーを正しい手順で外しておいてください。
外すときはマイナス側から外し、取りつけるときはプラス側から取りつけます。


4.熱対策
ケーブルが熱にさらされるようなレイアウトはなるべく避けてください。
やむを得ない個所はケーブルに熱対策を施してください。
編み線等熱に強いケーブルの使い分けや、耐熱チューブの利用等の選択肢があります。


5.ディストリビュータへの接続について
もしこれの固定ボルトに接続することを試みられる場合は、本体の角度がズレると点火タイミングが狂う危険があります。
封印されている場合もあり、ボルトを外すだけで「保証外」となる場合もありますので充分にご注意下さい。


6.慣らし
アーシングを新たに施工した場合は、新しいコンディションをECUに学習させ、安定動作させるため、最低でも
5分程度はアイドリングさせることをお薦めします。
また、ECUが完全にコンディションを学習し終えるには、目安として300Km程度の走行が必用と考えましょう。


7.端子の圧着工具
安全性、確実性の面から、可能な限り専用工具を使うことを強くお勧めします。


8.高周波ノイズへの配慮について

8-1 アーシングの線は接続ポイントまでの引き回しに必要な最低限の長さで使用してください。
(たるみをもたせる必要がある部分はもたせてください)
8-2 余ったケーブルを折り返して束ねたり、ループ状に束ねることは絶対に避けて下さい。
8-3 接続して誤作動や異常をきたした場合、そのポイントは躊躇なく即外す!
8-4 純正アース線が束ねて1箇所に接続されているものは、それらの純正アース線を分割して
別の場所に接続を移すことはしないで下さい。
(電磁ノイズ対策や電位を揃える等のため、意図的にまとめられている可能性がある為です。)
8-5 (上級者向け)
純正線を切る場合は元の線を外し、ループになるのを避ける。
しかし、万一の追加線の断線等フェイルセーフを考えるて純正線を残される人は、純正の
側のアース線にクランプ式フェライトフィルタを取り付けることをお勧めします。
位置は割り込み部分の近くが良いでしょう。
8-6 (上級者向け)
ECUのアースラインに追加した場合、すぐ側にクランプ式フェライトフィルタを付ける。

<注1.上記の内容は高周波ノイズによる誤作動を確実に防げることを保証するものではありません。>
<注2.点火系の電線にフェライトフィルタを入れた場合、ラジオノイズは減りますが、点火エネルギーが減衰してしまう可能性があります。>
<注3.センサー類のの純正の信号系の電線そのものには直接フェライトフィルタを付けるのは避けるのが無難と考えます。
    デジタル信号やアナログ高周波信号を扱っている場合、それを損なうリスクがあるからです。>

(補足)高周波伝導ノイズの危険について
   電気回路には必ずつきもので、回路そのものをアルミケースなどで
   シールドしていても、配線の取り回しで、配線そのものが
   アンテナの役目をして高周波の電磁波を拾ってしまう
   ことがあり、これが各デバイスを誤作動させる危険があるのです。
   要は、街を走っていても電界強度の高いテレビやラジオの
   電波塔の下を走ったり、高圧線の下を走ったり、違法な高出力の
   無線機をつけたトラックが横を走ったり、観測用や防衛用レーダーの
   側を走ることもあるでしょう。
   そんな時に電線がアンテナとなって有害な高周波ノイズを拾い、クルマを誤作動させる危険があるのです。
   無論、クルマの電装機器についてはメーカーで完成状態ではテスト、対策されています。
   おまけにエンジンの点火系だってノイズ源そのものですから。
   しかし、アーシングも含めて改造して不具合が出る保証外となります。

   一方、あまり神経質になっては、アフターパーツのオーディオだって電源ワイヤー引きまくりですし、
   カーナビだってECUに配線割り込みまくりです。
   電装系のアフターパーツの追加改造にはアーシングと同じようなリスクは常にあるのです。
   オーディオやナビを付けてクルマの誤作動事故がおきたという話は聞かないので、リスクは小さいかも
   しれません。
   しかしながら、アーシング自体は、流行初めて間がなく実績がまだ少なくリスクの程度は未知数です。
   このため、自分で出来ることは対策を講じておくべきなのです。

  #脱線しますが、ナビ等に付属の割り込みクリップも、接触安定性や、純正線へのダメージ等かなり信頼性が良くないのです。
  #ちなみに私は1度これでトラブルを経験したので、割り込み部分は全て中の線を切らない様綺麗に被服を取ってハンダ付けし直しています。


9.被服の無い編み線等の取り扱いの注意
絶縁されていないのでショート事故には配慮した処理をされて下さい。
また、金属の編み線はヤスリのようなものですから、ゴム管などに擦れる場合は対策を講じ、周囲の部品に
ダメージを与えないようにして下さい。


10.純正で付いているボディアースポイントについて
  純正のアース線が数本まとめてボディ等に1箇所に固定されている部分がありますが、これらを
  絶対に数本ずつ等に分割して接続し直すことはしないで下さい。
  これらは設計上意図的に電位を揃えたいため1箇所にまとめてあるので、分割アースしてしまうと
  不具合が出る危険があります。


11.オルタネータへのアーシングについて
(2002/01/24追記)
  1)オルタネータにはケース(カバー)に開いているボルト穴に接続して下さい。
  2)ボルト穴の深さに対して長すぎるボルトは使用しないで下さい。
   オルタネータ内部にはICレギュレーター等の回路基板が収められており、
   これにボルトが接触するとトラブルの原因となります。
  3)オルタネータによっては「F端子」と呼ばれるICレギュレーターの出力調整機能を
   キャンセルするネジあるいはボルトが露出している場合があります。
   これには接続しないで下さい。過充電等のトラブルの原因となります。
  4)オルタネータ本体をエンジンに固定しているボルトを外してアースしないで下さい。
   オルタネータの取り付け強度が落ち、走行中オルタを回すベルトが緩む危険があります。


12.その他
12-1.安全のため、純正アーシングは基本的には外さないでください。(上級者編を除く)
 純正アーシングを強化する場合は、元の線が劣化していない限りなるべく純正を残した上で行いましょう。
 また、バッテリー端子のボルトを換える場合は、かならず電気抵抗の低いものを使用してください。
 電気抵抗の高いボルトを使用されると事故に繋がる危険があります。
 メッキ部分だけ抵抗が低いようなボルトも絶対駄目です。材料自体が抵抗の低いものにしてください。
 バッテリー専用品を使うのが無難です。

12-2.スロットルボディの固定ボルトに接続する場合、サクションパイプ(吸気側ゴムパイプ)を外す必要がある場合があります。
 この場合、絶対にサクションパイプ内、又はスロットルバルブ内に異物や埃が入らない様にして下さい。
 埃っぽいところでの作業や風の強い環境化では作業しないで下さい。
 また、当然ですが、エンジンは停止した状態で施工を行って下さい。


各コンテンツで紹介している改造、改良、自作等をご自分で試される方は、
必ず自己責任において行って戴きますようお願いします。
万一、何らかの支障、問題などが生じた場合、一切筆者側は責任を負いません。
(冷たい様ですが、この手のコンテンツの一般的ルールですので。(^^;)
また、万一内容に間違い等お気付きの方はお手数ですが、eメールや掲示板にてご連絡くださいます様お願い致します。