1.アーシングチューニングとは


(2000/10/31)

アーシングチューニングとは読んで字のごとく「アースを施す」ということですが、すなわちクルマのアースを強化する電気系統のチューニングメニューであります。
アーシングには、次の点火系の強化と電装系の強化の2つの目的があります。

1.点火系の強化
プラグ点火系において、バッテリーからディストリビュータおよび点火コイル(1次側)の間の抵抗をアーシングにより下げてやり、
電圧降下を減らすことで、2次側の電圧をアップさせ、点火力を強化します。

2.オルタネータによる充電効率アップ
オルタネータ(発電機)のマイナスと、バッテリーのマイナスはボディを介して繋がっています。
プラス側はケーブルで接続されているにもかかわらず、これでは抵抗による充電ロスを片道分しか防げていないことになります。
マイナス側もバッテリーのマイナスと接続することで、バッテリーの充電効率がアップします。

3.各種センサーの精度アップ
現代のクルマはボディやエンジンの様々な部分にセンサーが取りつけられていますが、グランドを基準に電圧信号を
出すセンサーが多く、ボディアースを基準に取っているものがあります。
ところが、クルマのグランド電位は場所によってバラついています。
ボディのある位置と、離れた位置で電圧を測ると、グランド同士であるのに電位差が出来ているということです。
この問題は1点アースによりこれによる不具合を回避しているのが一般的ですが、ボディをアース経路に使っている以上
そこに大電流が流れると基準電位が大なり小なりふらつくことになります。
ラジエータのファンモーター等は結構電流の大食らいです。
アーシングにより、ボディ各部のグランド電位を安定させることで、センサーおよび、ECU本来のポテンシャルを引き出す効果が期待できます。

4.電装品の動作の安定化ならびに強化
エアコンやライト点灯時などの電装品を多用した場合においてもボディーアースからエンジンのアースを別系統とすることで、
電流キャパシティを確保することとなり、点火系への電流キャパシティのしわ寄せを回避=パワーダウンを回避できます。
また、ECU等の電装品の動作の安定化、対ノイズ性向上による誤作動の低減、ヘッドランプ光量のアップ、オーディオの音質向上等のメリットがあります。
フューエルポンプ等に直接アース線を割り込ませれば、電圧降下を減らせ、パワーアップに繋がります。


純正状態でも当然ながらアーシングは施されていますが、コストの関係上どうしても必要最低限の接続に抑えられている場合多い様です。
また、車種によってはSRエンジンのように点火系が比較的弱いといわれているものもありますので、やってみる価値は充分あります。
尚、筆者は実際に効果をあげています。

点火が強力になる分、プラグやプラグコードの交換サイクルは幾分早くなるかもしれませんが、エンジンに優しく環境負荷も小さい、
自作が可能で、効果が体感出来る、魅力的なチューニングメニューがアーシングなのです。


「アーシング」って呼び方は正しいの?(備考)
(追記2001/11/04)

1.”アーシング”の呼び方
まず、アーシングというのは日本国内の造語ではありません。
そして、各国によってメジャーな呼び方は異なります。
以下に例を挙げます。
EARTHING
EARTH BONDING
EARTH BONDING SYSTEM
EARTHING SYSTEM
GROUNDING
GROUNDING SYSTEM

米国では"GROUNDING"の呼び方が主流のようです。

2.関連用語(英語)の意味
EARTHING 接地します
BONDING 接合します
SOLDERING はんだ付けします
CONNECTING 接続します
WIRING 配線

ただし、日本でカタカナ英語になると技術用語or工業用語として使われる用途や分野によって別な意味付けされることが
よくありますのでご了承ください。



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