3.アーシングチューニングのknowhow

(2002/01/24更新)


まず、確実な作業では効果を期待できますが、いい加減な作業では適当な効果すら得られない
ばかりか危険なこともあるのがアーシングです。
まずこれをキモに銘じてください!

また、Earthing FAQも合わせてご参考にして下さい。


1.重要部分はなるべくバッテリーのターミナル近くからケーブルをひくこと
  電流の集中を避けるため、バッテリーから遠い部分で分岐させすぎないようにします。
  分岐する場合は、なるべく根元側は先端より電流容量の大きいケーブルを用いるのが理想的です。
  この結果、自動的にバッテリーターミナル近くからの分岐が最も多くなるケースが多いです。
  目的の接続ポイントに対してなるべく、太く短く繋ぐというものポイントでしょう。
  体感効果の高かった部分についても分岐している場合はバッテリー近くからに変更すると有効でしょう。

  クランプメータをお持ちの方でしたら電流値的にオルタネータ近くから引く方が良いポイントも
  見つけられることがあります。

  但し、いずれの場合も必ずしも電流値と体感効果が一致するとは限りませんのでバッテリーとオルタネータ側の
  どちらに接続するかを迷った場合については体感効果やクルマのコンディションの具合を見て判断するのが
  望ましいです。


2.効果の出る可能性の高い部分を狙ってアーシングを施す
  (2002/01/24更新)
  一般的には以下のようなポイントがねらい目です。

1     エンジンヘッドカバー(ボルトと座金の間-ボルトを介してヘッドをアース)
2     エンジンヘッド
3 * ** 中級者向き スロットルボディ固定ボルト
4 * **   オルタネータ本体に開いているボルト穴、およびその付近のエンジンのボルト穴
(オルタネータ本体をエンジンに固定しているボルトを外すことはお勧めしません)
5     サージタンク
6     純正の電装品のアースがボディに接続されている部分。
特に太いケーブルが用いられていたり、多数のケーブルが集中している部分
7     ECUケース
8   **   バルクヘッド等のエンジンルーム壁面
9     ミッション、デフケースのボルト穴(AT車ではミッションのレスポンスが改善されるらしい)
10     プラグケーブル固定ホルダーをエンジンに留めているボルト
11   上級者向き 点火コイル1次側パワートランジスタのマイナス側(要回路図確認)
12   上級者向き ECUインジェクターアース(要回路図確認)
13   上級者向き フューエルポンプ(要回路図確認)
14 マフラー (マフラーを伝って発する電磁ノイズ低減効果もあるらしい)

*印の個所は車種によっては逆効果の場合があることが確認されています。
 各自、自己責任にて選択されて下さい。


**印の個所は車種によっては燃費が悪くなることがある様です。
燃費が悪化した場合はこの個所を外して他のポイントを選択し試して下さい。


「上級者向きと書かれた項目については初心者の方や、クルマの知識が少ない方は絶対に行わないで下さい。

どのポイントにつきましても、アイドリングが不安定になったり、吹けが悪くなる場合は外すことをお薦めします。
Earthing FAQをあわせてご参照下さい。

ターボ車においてはインタークーラーなどにも効果がある模様です。
おそらく、空気の摩擦による静電気の除去により抵抗が減るものと考えられます。
個人的にはタービンユニットなんかも軸や空気の回転摩擦が大きくてアーシング効果がありそうに思えます。
被服の無いタイプのアース線なら発熱個所にも接続できますね。

エンジンヘッドへの接続について
(2002/01/24追加)


エンジンのヘッド部にアーシングする場合、図の様に、
なるべく各プラグに対して均等に近い位置にアースが
取れる様、複数箇所に分散させて接続する方が、
より良好な効果が得られることがProject-Eの活動により
わかってきています。

(星印の多い方がより効果的な接続です)

3.バッテリーへの接続を工夫すること
 アーシングのカナメとなる部分です。アーシング成功の大きな鍵です。
 アーシングを進めていくと「こんな複数のケーブルをどうやってひとつのバッテリー端子に留めるんだい?」という問題にぶつかります。

 電流容量も必要ですし、強度も必要です。
 バッテリー端子に直接接続される場合は緩まないことも考慮しなければいけません。

 分岐ブロックを介して接続すればバッテリー端子へ加わる応力を減らせるメリットがあります。
 少し長めのボルトを用いて長ナットを用いれば、締め付け強度もある程度強化できます。

 尚、分岐ブロックを自作される場合は、強度や電流容量に注意してください。
 振動で金属疲労するような薄い金属板や、断面積や接触面積が純正状態で付いているマイナスケーブルの
 断面積より小さい設計は避けた方がよいでしょう。

FAQと内容がダブりますが、重要な点ですので同じ内容を掲載します。

ケーブル分岐ボックス(ディストリューションブロック)
エーモン工業製の品番2150を用いた例。
カーオーディオマニア向けのAUDEAというブランドのパッケージです。

品物は本体が真鍮で出来ており、24Kメッキが施されています。
22sqを8sq4本に分岐するためのもので、本来プラス側に使われるものですが、
同じ電流容量内であればマイナスでも使える理屈です。
但し例によってアーシングへの使用に関しては自己責任で行ってください。
使用可能電流は12V100A(MAX)(4本合計)です。
SpritFire製GROUND WIREコンポ・セントラルブロックを用いた例。
品番GWX-CB。
グランドアーシング専用に作られたもので、分岐ケーブルは
基本的には8本まで接続可能。
本体ブロックはアルミ合金製。
耐熱PVC製カバー付き。


また、沢山の端子を共締めする場合は、少し長めのボルトと、長ナットを用いて、ネジ山に負担をかけ過ぎないよう注意する等
強度を確保するように工夫しましょう。
平ワッシャーとバネワッシャー使用による緩み留め等も効果的かと思います。
下の写真の例では、スプリットファイア製の分岐ターミナルを用いて長めのボルトと強度を考え長ナットに交換、純正ターミナルのボルトは
エーモン製のバッテリー端子に付属のメッキタイプが移植してあります。


4.検査機器による確認
 事故を防ぐため、接続個所の極性に不安がある場合は、マイナス端子と導通しているかテスターで必ず確認を行って下さい
 また、バッテリー端子のマイナス側とアーシングしたいポイントの間の抵抗値を測りながら作業すると、確実性も増します。

 予算に余裕のある方でアーシングを趣味にされたい方はクランプメーターが強力な武器となることでしょう。
 実際の電流値に対して、ケーブルの太さが充分か確認できますし、接続ポイントが増えてきた場合に、どの線を整理すればよいか
 判断するのに使えます。


5.導通性の良い接続材料を使う
 ボルトを追加して使う場合はステンレス製ではなく、電気抵抗の低い鉄製を選択する。座金も同様です。
 また、ステンレス材でも鉄の含有量が異なったりします。

 黄銅ボルト等を使うと更に抵抗を減らせますが、この場合はボルトの強度に充分注意して下さい。

 バッテリー端子の純正ボルトをエーモン製バッテリー端子に付属のものに交換する等の手段もあります。
 この場合ネジピッチが特殊なようですので、ボルトとナットをペアで流用することになります。


6.トルクアップ改善効果がほとんど感じられない場合
 基本的にクルマのコンディションがアーシング前の時点できちんと維持されていることが前提です。
 不健康な人に筋力強化剤を使っても意味がないのと同じです。

1)プラグを疑ってみましょう。
 プラチナプラグやイリジウムプラグ等の芯極の細いものでは、最大パワーはおそらく上がりますが、アーシングで体感の著しい低速トルクや、
 燃費改善効果は小さい傾向があります。
 アーシングにより点火力がアップした状態では、芯極の太めのものや、点火個所が複数あるマルチスパークタイプのプラグが有利な傾向が認められます。
 もちろんギャップ調整もお忘れなく。適正幅より小さいと、やはり効果は小さくなります。

2)バッテリーやオルタネータの寿命は大丈夫でしょうか?
 肝心のエネルギーの源が弱っていては充分な効果を発揮しないばかりか、突然の寿命を招く可能性があります。

3)元々アース系統がきちんと設計されたクルマの場合は効果が小さい可能性があります。


7.ケーブルの使い分け

7-1 電流容量による使い分け
バッテリーターミナルから1本出し、先で分岐される場合はなるべく根元の方は先端より電流容量の
大きなケーブルを用いることをお勧めします。
今のところメインに使われるケーブルは14sq、分岐前の部分は22sq以上が目安の様です。
これはあくまで目安ですので、各自のクルマの条件に応じて選択されて下さい。
7-2 周波数特性の観点による使い分け
ケーブルの周波数特性については高周波のパルス信号や交流を流したい部分については芯線が細いものが
多数束ねられたケーブルが向いていると考えています。
1次コイルへのバッ直や、オーディオの音質向上を狙いたいポイントにはそうしたケーブルを使用し、ケーブルを
使い分けることが良いと筆者は考えます。
低周波電流の部分であれば、芯線が太くとも電流容量が確保されていれば形状安定性が良いので配線のとりまわしの
点で使い勝手がよいと考えます。
7-3 柔軟性の観点による使い分け
振動の激しい部分は金属疲労による断線を避けるため、たるみを大きくもたせるか、細い芯線が集まった
柔軟性に富んだケーブルを選択し、使い分けます。
7-4 高温度になる部分の付近のケーブル。
エキマニの側やマフラー等、高温になる部分には被服のない剥き出しの編み線をお勧めします。
ただし、絶縁されていないのでショート事故には配慮した処理をされて下さい。
また、金属の編み線はヤスリのようなものですから、ゴム管や他の配線、アルミ管などに擦れる場合は対策を講じて下さい。

8.サーキット走行会等でタイムを狙いたい場合。
 体感だけに頼る場合も、クランプメータのある場合も、なるべく普段はアーシングの改良効果を確認(体感)し易い
 セッティングで施工を行うこと
です。
 すなわち、やはり普段は太めの芯極のプラグで改良を行っていれば、良し悪しの体感は比較的容易ですし、
 点火パワーは向上しているはずで、本番で高回転向きのプラグに換えて走行会に臨んでも有効なはずです。
 しかも街乗りはトルクのある太めの芯極のプラグの方がストレスなくドライブできますね。(^^)

 燃費計がある場合はこの値も参考にして行うとよいでしょう。
 燃費がよくなるということは、燃焼効率が良くなるということですから、スポーツ走行の場合燃焼効率の良さは
 速さに活かされるはずです。
 但し、高回転の吹け上がりとのバランスに注意する必要はありますが、極端に吹け上がりの悪くなる接続で
 なければ、スポーツ走行用のプラグに換えることでバランスが取れるケースもありますので、このへんは
 各自でノウハウを積んでいくしかないかと思います。
 「トルク重視型」「吹け上がり重視型」というのも各自のクルマの特性やドライビングの好みもありますからね。

 更に、サーキットを走ったときに、ラップタイムのデータだけでなく、どういうセッティングをしていたかを記録に
 残していれば次に活かせるわけで、これはアーシングにも言えるかと思います。
 接続を変えて好タイムが出た場合は、なるべくそのカタチをベースにして、一気に大幅に変えないで改良していくのが
 大切です。


(例)筆者のクルマの場合(参考資料)
参考までに筆者のHNP11プリメーラの効果表を書いておきます。
5点満点で、点数が多い程、効果が大きいことを示します。
なお、数値はあくまで筆者の体感度による評価値です。
今のところ残念ながらシャシダイ等では確認を行っておりません。
また、車種によって効果が変わる可能性が充分ありますので、あくまで参考としてください。

アーシングポイント 評価得点 備考
ヘッドカバー(インマニ側) アクセルのつきが良くなり、低回転トルク感がアップします。
1個所より2個所が効きます。
ヘッドブロック 低回転トルク感がアップします。
スロットルボディ アクセルのつきが良くなり、低回転トルク感がアップします。
ディストリビュータ バッ直は逆効果でした。
オルタネータ 回転数全域でトルクアップ感があります。
サージタンク エンジンの吹けが良くなる感じです。
ECUケース 体感上の効果は?。
マフラーエンド 吹け上がりが良くなります。
ECUインジェクターアース アクセルレスポンスアップ、電圧降下の減少。
アイドリングで60mV、2000rpmまで軽く吹かすと100mV程度まで上昇したのがほぼ0Vに。
フューエルポンプ 高回転での加速フィールがアップします。
ポンプの電圧降下が0.2V改善されました。
1次コイルを駆動するパワトラのマイナス側 10 純正の線が貧弱でボトルネックとなっていたため、これが改善されエンジンフィールが別物になりました。
強化アース線を割り込み接触させる実験でエンジン音の変化も確認。
電気的には300mVp-pのリップル波形が40mVp-pまで減少。