7..純正アースへの接続について(上級者向け参考資料)


(更新日2001/11/07)
ここではECUのインジェクターアースや1次点火コイルのアース、燃料ポンプなど、上級者向けのアーシングを実施される場合、注意すべきと思われる事項を列記します。
知識や技能のない方は自分では施工しないでください。
尚、本コンテンツはあくまで参考資料としてお取り扱いください。施工の安全性を保証するものではありません。

又、内容に間違い等お気付きの方はお手数ですが、eメールや掲示板にてご連絡くださいます様お願い致します。


1.アース電流の回り込みについて-その1
あるデバイスAのアースを補強したい場合、

[デバイスA]-[純正ケーブル]-[ボディアースポイントa]

と繋がっているとして、デバイスA直後の純正ケーブルに割り込みを入れてバッテリーに直接繋いだとします。
すると、このままでは純正ケーブルも残っているので、同時にボディアースポイントaもアーシングしていることになります。
ここで問題となるのは電流の回り込みです。
経路は次の通りです。

[ボディアースポイントa]-[純正ケーブル]−[アーシングケーブル]−[バッテリー(-)]

デバイスAはボディアースポイントaと純正ケーブルの間にぶら下がるカタチになりますが、アースループの外にあるため
デバイスAに回り込み電流は流れません。
問題は純正ケーブルの部分です。(アーシングケーブルが充分な容量として)
純正ケーブルはデバイスAのアース電流の容量しか考えられていませんから、当然アースポイントaとバッテリー間に
流れる電流が加わると容量オーバーとなる可能性があります。
結構細い線が使われてる場合が多く、容量がオーバーすると焼損の危険があります。
また、アースポイントaとバッテリー間の電流はどちらに流れるかも予測できません。
バッテリー側からオルタネータに流れることもあるからです。
[オルタネータ]-[ボディアースポイントa]-[純正ケーブル]−[アーシングケーブル]−[バッテリー(-)]

対策として、次の方法が考えられます。
 1)アースの割り込みを諦めて、ボディアースポイントaを探してここをアーシングする。
   これはアースポイントが発見できれば従来からの正攻法といえるでしょう。
 2)バッテリーから直接引いてきた線に繋ぎ換えるアーシングを施工し、純正ケーブルを切断する。
   1が無理な場合はこの手段となるわけですが、当然ながら安全性に関わるため、それなりの知識と施工技術が要求されます。


2.アース電流の回り込みについて-その2
例えばECUのインジェクターアース等、アーシングしたいデバイスから複数のアースが出ている場合、それらがデバイス内部で
独立しているか繋がっているかを考える必要があります。

ほとんどのアース線は、デバイス内部への電流の回り込みを避けるため独立しているはずですが、
コストを抑える等の理由から電流容量を確保するためにあえて細い線のまま複数のアース端子を備えているケースも考えられます。
この場合、これらの共通アースは1点アースを大前提として設計されているはずです。
#筆者のクルマの場合はインジェクターアースがそれと考えています。
#理由は、ECUの端子表の名称が同じであることと、4個のインジェクタに対して3本の出力しかないためです。

デバイス内部で繋がっているので、このうちの1本だけでなく全てを接続する必要があると考えます。
これは、そもそも1本の線で容量が不足していて複数にしているのですから、1本だけに直アースをすると、これに電流が集中し
配線や基板内部のパターンを焼損する危険があると考えられるからです。
アーシングに際しては同じ長さの部分で配線を繋げる等の配慮も必要でしょう。


3.センサー系のアースについて
基本的に、配線付け替えによるアーシングを行うのはモーターやコイル等、パワー系に留め、センサー類への
付け替えアーシングは避けた方が良いと筆者は考えます。
理由は次の通り。

 1)センサー類はアース電圧の基準をそろえることと、電磁ノイズの影響を小さくする意味から複数のセンサーで
  同一個所にアース(1点アース)している場合があります。
  この場合、片方のセンサーだけ直接アースするとなると、1-2)で述べた様に、回り込み電流による純正ケーブルの
  焼損を避けるために純正アースを切断しなければなりません。
  しかし、これでは、1点アースが崩れてしまい不具合がおきるわけです。

 2)微弱な信号電流を扱うセンサー類は、比較的大きな電流を扱うパワー系と比べ、一般的に電磁ノイズに弱い。
  自動車は部品単品だけでなく完成品状態で電磁波ノイズ評価をして信頼性を確保されています。
  ここに不用意にアース線を接続すると、アース線がアンテナの役目をしてノイズを乗せてしまい誤作動を招く危険があります。


4.細い線への接続について
 純正の細いケーブルに太いケーブルを接続する場合は、いきなり純正ケーブルに太い線を接続すると、太い方の重みや、しなりの強さで
 純正ケーブルに負担がかかった状態となってしまい、断線等のトラブルの原因となります。
 この場合は、応力が加わらない部分まで細めの線で純正ケーブルを延長した後、シッカリと固定した太いケーブルに接続するという
 カタチをとりましょう。


5.ハンダ付け部分の絶縁について
 熱収縮チューブが望ましいですが、電線の芯線が太い場合や切断部先端が鋭利な場合は、チューブを突き破る場合もあります。
 この場合、多重に被せる等、充分注意、対策されて下さい。
 また、絶縁テープは耐熱性のあるものが売られていますので、これを使用しましょう。



各コンテンツで紹介している改造、改良、自作等をご自分で試される方は、
必ず自己責任において行って戴きますようお願いします。
万一、何らかの支障、問題などが生じた場合、一切筆者側は責任を負いません。
(冷たい様ですが、この手のコンテンツの一般的ルールです。(^^;)