品川百景第七番『鎮守橋から新緑の荏原神社を望む』


 

荏原神社

 南品川宿の鎮守で、北の天王様と呼ばれた品川神社に対して南の天王様と呼ばれる。所在地の町名は北品川となっているが、これは昭和3年(1928)の目黒川の改修で川筋が変更され、南側を流れるようになったためである。創建は古く和銅2年(709)藤原伊勢人(ふじわらのいせと)が丹生川上(にうかわかみ)神社(奈良県吉野)の分霊をこの地に迎えたのが始まりと伝えられる。  康平5年(1062)源頼義・義家父子は、阿部貞任(あべのさだとう)の一族を討とうとした際、府中の大国魂神社(おおくにたまじんじゃ)に参詣し、さらにこの社にも参詣し品川沖の海上にでて身体を清め、戦勝を祈願したという。今でも大国魂神社では毎年5月の祭りを始める際、品川沖の海上に出て無事を祈り、潮を汲んで持ち帰り、その水で清めるという慣習がある。  現在の社殿は、文政4、6両年の大火で焼失したものを文政10年(1827)再建に着手して弘化1年(1844)に竣工したもの。また拝殿前の鉄水桶は天保6年(1835)に奉納されたもの。


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