品川百景第三十四番『海雲寺と千躰荒神(せんたいこうじん)』


 


海雲寺

 山門を入ると正面に堂が2棟ある。右側が本堂で本尊十一面観音が安置され、手前左側が荒神堂で千躰荒神が祀られている。建長寺を開いた大覚禅師の弟子、不山東用和尚が建長3年(1251)に開いた寺。はじめ瑞林庵といい、海晏寺の一塔頭で当初は臨済宗であったが、慶長1年(1596)海晏寺5世の分外祖耕を開山として曹洞宗に改められ独立の一寺となったという。



千躰荒神

 海雲寺は”品川の荒神さん”と呼ばれ、この千躰荒神は、もともと品川宿にあったものではなく、明和7年(1770)に肥前国(佐賀県)佐賀藩主鍋島家の芝二本榎の下屋敷内3堂に祀られていたものを海雲寺に移したものである。火と水の神、また台所の神として有名で、毎年3月と11月の27・28日に大勢の人々で賑わう。境内から青物横丁駅まで所狭しと露店が出て、なかでも「お釜おこし」は有名。荒神堂の内陣では朝から夕方まで護摩が焚かれ、信徒は家の台所に祀ってある木でできたお宮を風呂敷に包んで首に結い付けてお参りにくる。このお宮を護摩の火できよめてもらって、また同じ格好で帰るのがしきたり。


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