品川百景第三十八番『エンジュ並木のゼームス坂通り』



ゼームス坂

 大井町駅と南馬場の中間にある緩やかな坂がゼームス坂です。坂を下った南馬場に住んでいたJ.M.ゼームスという英国人が、当時浅間坂とよばれていた急坂で通行人が難儀しているのを見て、私財を投じて現在のような緩やかな坂に改修したことにちなんで名付けられたものです。  坂の途中には、詩集『智恵子抄』で知られる高村光太郎の妻智恵子の入院したゼームス坂病院がありました。



J.M.ゼームス(1839-1908)

 海軍省で航海学を指導した英国人。幕末に、ジャーデン・マディソン会社の長崎支社の社員として来日し、後に熊本藩細川家に雇用され渡英して造船に従事する。明治5年(1872)海軍省に入り、日本沿岸を巡航、測量調査を行った。翌年は航海術教授として軍艦「筑波」に乗艦し、初期の日本海軍を指導している。明治15年(1882)には、英国から購入した燈台船明治丸の2代船長に就任。墓は生前帰依していた山梨県身延町の久遠寺にある。


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