品川百景第四十七番『氷川神社とわき水』


 


氷川神社

 素戔鳴尊(すさのおのみこと)を祀るこの神社は桐ヶ谷村の総鎮守。創立年代は定かではないが、『新編武蔵風土記稿』の記録によると、元禄の頃(1688〜1704)にはすでにあったことがわかる。石段をのぼったところにある社殿は昭和13年(1938)竣工の堂々とした桧の権現造。その右の側面は崖になっていて、”氷川の滝”と呼ばれる大きな滝があったところである。


氷川の滝(氷川の懸泉)

 このあたりの地は武蔵野台地の末端にあたり、湧き水が多くあった。安楽寺の池もこの崖下の泉から注がれており、昔は近くの農家の飲み水として利用されていたという。”氷川の滝”はかつて都内7暴布の1つとして水量を誇り、夏ともなれば各地から涼を求めて人々が集まってきた。嘉永4年(1851)には村人が水源を掘り下げて流量を多くしたという記録もあるが、今は水量も乏しく、わずかに残る小さな筧に往時がしのばれるのみである。


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