品川百景第六十四番『品川歴史館』


 


品川歴史館

 品川歴史館は、昭和60年(1985)5月に品川区によって開設された。博物館・歴史資料館の機能や、行政文書等の行政資料、地方文書の保存を図る文書館の特徴を持ち、品川に関する史・資料を収集・保存している。歴史館の建物は、和風建築の様式を生かした特長のあるもので、水琴窟と渓流を思わせる二筋の流れを中心に芝生の広がる庭園も美しい。都会の中でしばしの静寂が味わえる場所である。品川の歴史を調べたりするだけでなく、四季折々の木々や草花をたくわえた庭園のたたずまいや、水琴窟の幽玄にして繊細な水音、渓流に水浴びして遊ぶ野鳥を楽しむことも一興である。  また付設された書院・茶室では、俳句・謡曲・華道などの文化活動ができる。書院は、歴史館建設前にあった吉田記念館の書院造りの大広間を復元したもの。苔むす露道をもつ茶室「松滴庵」も、吉田氏の前の所有者であり、建物の建て主であった安田善助氏(安田善次郎氏の甥)によって作られたとされるものを当時のままに残したものである。  歴史館には、大森貝塚出土遺物をはじめとした考古資料、海苔生産用具など農・漁具、生活用品を中心とした民俗資料、品川に関する図書、地図、錦絵、石版画、瓦版や近世から近代の地域文書、行政文書などが所蔵され、展示室では桁船模型を中心に品川の歴史が通史的に概観できる常設展示がされている。


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