品川百景第八十一番『法蓮寺』


 

法蓮寺

 旗岡八幡神社に隣接するこの寺は文永年間(1264〜74)の創建。開山は日蓮六老僧のひとり日朗(にちろう)の弟子、朗慶(ろうけい)である。朗慶は源義家の曽孫で荏原の豪族だった荏原左衛門義宗の子、徳次郎で、日蓮を敬う義宗が日朗に入門させたという。  源義家の祖父頼信は、寛仁年間(1017〜21)、夢のお告げで八幡大菩薩の神像を得たが、この神像は、頼信、頼義、義家と伝えられた。頼義は、平忠常や安倍頼時とその子貞任、宗任の乱の平定の折、この神像を陣中に奉じたという。また、この像はさらに義家から、曽孫の義宗へと伝えられ、日蓮聖人の開眼を請い、境内に八幡神社を建てて祀ったという。「八幡山」の山号は、このような伝承によってつけられたものであろう。なお、近くの中延5・6丁目付近を「源氏前」と呼ぶのは、義宗がこのあたりを居館としたことからきているものといわれている。  本堂・庫裡は戦災で焼失し、現在の本堂は戦後の再建。毎年10月16日に行われる御会式(おえしき)は、地元や近在の結社が万灯(まんどう)・纏太鼓(まといたいこ)などを持って集まるもので、たいへんにぎやかである。


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