市販品自動車チューンナップ用イオナイザーについての考察


自作イオナイザーの開発において、究極的にはどこまで効果を狙えるのか?!
その可能性は?!


そのヒントとするため、現在市販されている自動車チューンナップ用イオナイザー(吸気側)について
パンフレット等から検証してみました。
筆者の素人的観点からの考察ですので、もし、計算ミスや単位の変換ミス等ございましたら
TRラボ等にてご指摘いただけると幸いです。(^^)

(再計算3回目(笑))

<前提条件>
1.馬力のカロリーへの換算
馬力を表す、psとは仏馬力で、1秒間に75kgの重りを1m持ち上げることの出来る仕事率であり
1ps=75kg・m/secと定められています。
これをW(ワット)に直すと
1ps(馬力)=0.7355kW(735.5W)
1Wの仕事量は1秒で1Jの熱量を発生します。(1W=1J/sec)
そしてこれは 1W=1J/sec=0.2389cal/sec に換算できます。
従って、1ps(馬力)=735.5*0.2389=175.71cal/sec の変換式が求められます。
2.大気中の酸素の量
次に気体の方ですが、気体は0℃1atmにて1molあたり22.4Lの体積があります。
そして、大気中に含まれる酸素の量は約21%。
これを大気1Lあたりの酸素分子をモル量に換算すると1/22.4*0.21=約0.009375molとなるかと思います。
3.エンジンが吸い込む酸素の量
4サイクル4気筒2000ccエンジンの場合、2回転で2000ccの吸気燃焼していることになります。
従って、吸気抵抗がゼロとするならば
最大出力が得られ易いであろう回転数7000rpm時、1分間に7000Lの大気を吸っていることになります。
1分間に吸い込む酸素のmol数は7000/22.4*0.21=65.625mol
吸い込ん1秒間あたりにすると酸素は65.625/60=1.09375mol 吸入されることになります。
但し、排気抵抗や、ポンピングロスによりシリンダー内には必ず残留ガスが残りますので、
実際にはこれだけの酸素を吸入出来ていないと思われます。
また、自動車のエンジンは一般的に有害排気ガス成分の改善のためEGRという仕組みにより排気ガスの一部は吸気側に戻されます。
フレッシュエアーの吸入にはこれらの制約条件があるため、ここでは、7000rpmで1秒当たりに燃焼室に
取り込まれる酸素の量は仮にこの70%とすることにします。
つまり、燃焼室に入る7000rpm時の1秒当たりの酸素は1.09375mol*0.70=0.765625molとなります。

<某イオナイザー製品Aの資料の場合>
まず、製品資料に基づき、酸素1molあたりの燃料ガスとの反応熱が酸素分子の解離エネルギーロス(117kcal)にて
本来383kcal発生するところが267kcalのエネルギーしか発生していないとします。
但し、エンジンの燃焼というのは完全燃焼ではなく、常に不完全燃焼です。
これは一酸化炭素を除くための触媒が必要なことからもわかりますね。
そこで、酸素と燃料の反応効率を仮に80%としましょう。K=0.80(80%)
0.765625mol*267000(cal)*K=163537.5cal/sec
これを馬力に換算して163537.5/175.71=約930.7ps
見ての通り、これはかなり現実離れした数値であります。 
自動車のエンジンというのはかなりエネルギー効率が悪いもであるはずです。
駆動系各部のメカフリクションによるエネルギーロスは元より、エンジンの冷却系でもどんどん熱が奪われていきますし
これらの循環装置や発電装置、コンプレッサー類に食われるパワーロスもあるでしょう。
そこで、ここでは仮に実際の機関出力はNA2Lエンジンで仮に150psとしましょう。
つまりこの場合、例にあげた自動車では約16.12%のエネルギー効率ということになります。(150ps/930.7ps)
ひとまずこの数値を用いて、機関エネルギー効率補正係数 L=0.1612(16.12%)としましょう。
そして、やっとイオナイザー(某製品A)の出番です!
まず、実際にイオナイザーで1秒間に100Lを超える高速気流の中の酸素分子を、100%イオン化するのは不可能と考えます。
おそらく、性能の良いもので10%に届くかどうかというところかもしれません。ここが製品の性能が問われる部分ですね。(^^)
データが無いので、とりあえず、イオナイザーの酸素のイオン化効率係数を M=0.10(10%)としましょう。
そして、本題です。酸素分子が燃料の炭素と結びつく前の解離エネルギーが1molあたり117kcal失われており
イオナイザー(某製品A)で回収できたとしましょう。
0.765625mol*117000(cal)/175.71(cal/sec)*K*L*M=約6.57psのアップ!
実際にこれだけの効果が出るならチューニングパーツと認めても良さそうに思えますね。
但し、上記にあげたパラメーター、つまり、排気量、回転数、気筒数、K,L,M等の係数により、車体によって
効果にかなり差が出ると考えられます。
過給器が付くと更に変動するでしょうね。
過給器は吸入酸素は増えますが、イオン化効率が落ちるかもしれませんのでそのあたりのバランスがキーになるかと思います。

<某イオナイザー製品Bの資料の場合>
まず、製品資料に基づき酸素1molあたりの燃料ガスとの反応熱が酸素分子の解離エネルギーロス(288kcal)にて
本来383kcal発生するところが95kcalのエネルギーしか発生していないとします。
但し、先にも述べた理由から酸素と燃料の反応効率を仮に80%としましょう。K=0.80(80%)
0.765625mol*95000(cal)*K=58187.5cal/sec
馬力に換算して58187.5/175.71=約331.16ps
こちらもやはり、かなり高い数値になりますが先ほどの製品と比べると現実的な数値にも思えます。。
さて、先ほどと同様に、実際の機関出力はNA2Lエンジンで仮に150psとしましょう。
逆算すると、こちらは約45.30%!のエネルギー効率ということになります。(150ps/331.16ps)
これは、イオナイザー製品と関わらないノーマル状態での燃焼効率ですから、あまりに効率が良すぎるように思えますね。
もしかすると、95kcalというのは不完全燃焼の分の反応効率80%を加味してある数値なのかもしれません。
あるいは64ps前後のエンジンを想定しているのでしょうか?しかし、それでは想定排気量に対してあまりに非力すぎます。(かなりの旧車?(^^;)
しかし、ここではとりあえず厳しい方のパラメータを選択したく思います。
従って折角計算しましたが、ここではとりあえず先ほどの「製品A」の数値を使いましょう。
機関エネルギー効率補正係数 L=0.1612(16.12%)とします。
そして、やっとイオナイザー(某製品B)の出番です。
製品資料の通り、酸素分子が燃料の炭素と結びつく前の解離エネルギーが1molあたり288kcal失われており
マイナスイオンデバイス某製品Bで回収できたとします。
こちらもイオン化効率のデータが無いので、先ほどと同様に、イオナイザーの酸素のイオン化効率係数を
 M=0.10(10%)としましょう。
0.765625(mol)*288000(cal)/175.71(cal/sec)*K*L*M=約16.18psのアップ!
製品としての性能は「製品A」よりも優れている可能性がありますが、前提条件の酸素1molあたり95kcalの設定をどう考えるかが問題でしょう。
そしてこれもまた、上記にあげたパラメーター、つまり、排気量、回転数、気筒数、K,L,M等の係数、過給器の有無により、車体によって
効果にかなり差が出ると考えられます。

以上です。(^^)
尚、リッター当たりの出力が大きいほど「機関エネルギー効率補正係数」が大きくなるため、効果が大きく出ることが考えられます。
単純にNA車で考えると2000ccで150psのクルマよりも同じ2000ccで200ps出るクルマの方が効果は大きい可能性があるということですね。(^^)


尚、本内容につきましては引き続き、詳しい方の検算、チェックをお願い致します。m(__)m