THE THIRD REICH'N' ROLL


サード・レイヒン・ロール

Recorded:1974.10〜1974.10
Released:1976.02


 アメリンオールデイズヒットナンバーのメドレーカヴァー集。と言うとJRの構内で1000円均一で売られているような物を想像しがちだが、もちろん彼等がそんな毒にも薬にもならないものを作るわけがない。これは猛毒。カヴァーとは名ばかりの、ムッチャクチャに演奏・コラージュされた名曲たちは、原形をとどめないぐらいドロドロに溶解して暗黒地下世界に沈殿しており、あまつさえ版権などは当然のように無視されている。たとえば、ヒトラー版「Let's Twist Again」、最高にラリった「Yummy, Yummy, Yummy」、ヘッタクソなシンセによる「Surfin' USA」、後に重要なテーマとなるプレスリーの「Double Shot」、結成時よりレジデンツと共に活動していた謎の歌姫Zeibakの歌う「It's My Party」、そして「Hey Jude」などなど、数え上げればキリのない数の曲をサシミにしている。ビートルズといえばMEET THE RESIDENTSのジャケット(2バージョンとも)でオチョくっていたが、このアルバムのライナーにはデカデカと「なぜレジデンツはビートルズを嫌うのか?」といった見出しがついているほどで、彼等の屈折した愛情が汲み取られる。またアルバム名が示す通りヒトラー・ナチスをも同時に皮肉ることをコンセプトとしているのだが、「我々はネオナチではない」という注意書きや、ドイツ輸出の際にジャケットの鈎十字とヒトラーの顔をシールで隠すなどの、蛇足的細かい配慮には脱帽だ。サウント面では、1stシングル以来使われてきたティアック3340という4トラックの録音器材から8トラックへと進化したことによる音質向上と、ようやくシンセサイザーを使いこなして独特の音造りがなされ始めたことが挙げられる。

冒涜度★★★★★
ベジタリアン度★★




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